ガバナンス
日本M&Aセンターグループは、コーポレート・ガバナンスの強化・推進、コンプライアンス重視、リスクマネジメントの実践、情報セキュリティの強化に取り組んでいます。
各情報は「統合報告書」でも開示を行っています。
コーポレート・ガバナンス
日本M&Aセンターグループは、企業理念等に基づき永続的に社会貢献を果たし、さまざまなステークホルダーの方々のご期待にお応えしていくためには、コーポレート・ガバナンスの充実が経営上の重要課題であると考えます。コーポレート・ガバナンスを充実させることにより、業務執行の状況の監視・牽制機能を強化し、以って以下を当社の経営の中心課題として捉え、日々尽力しています。
- 経営の健全性・公正性を確保し、法令遵守を徹底すること
- 経営の透明性を確保し、説明責任を全うすること
- 経営の効率性を確保し、株主価値の最大化に努めること
コーポレート・ガバナンス体制
当社は統治形態を監査等委員会設置会社としています。
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取締役会
取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く)10名(うち、社外取締役5名)、監査等委員である取締役3名(うち、社外取締役2名)の合計13名で構成されています。毎月1回の定時取締役会及び必要に応じ臨時取締役会を開催し、経営の基本方針、経営上の重要事項、法令及び定款に定められた事項の意思決定を行うほか、取締役の職務執行を監督しています。
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監査等委員会
監査等委員会は、取締役(常勤監査等委員)が1名、社外取締役(監査等委員)が2名の合計3名で構成されています。監査等委員は、取締役会等の重要な会議に出席し法令遵守の状況等を常に確認するほか、重要書類の閲覧や業務進捗状況の聴取を行い、業務監査、会計監査等、業務執行上の監査を行う体制としています。また、会計監査人や内部監査担当者と定期的に情報交換を行うなど、連携した経営監視体制を整えています。
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指名諮問委員会
当社は、株主総会に提出する取締役選任議案にかかる候補者選定のプロセスの適正性及び透明性を担保することを目的として取締役会の任意の諮問機関である指名諮問委員会を設置しています。委員会は、代表取締役(1名)、常勤取締役(1名)及び社外取締役(独立役員3名)の合計5名で構成されており、委員たる社外取締役が委員長に就任します。取締役会は、本委員会による討議の内容を最大限に尊重した上で株主総会に取締役選任議案を上程しています。
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報酬諮問委員会
当社は、取締役への報酬の透明性及び妥当性を担保することを目的として取締役会の任意の諮問機関である報酬諮問委員会を設置しています。委員会は、代表取締役(1名)、常勤取締役(1名)及び社外取締役(独立役員3名)の合計5名で構成されており、委員たる社外取締役が委員長に就任します。本委員会は取締役の報酬等の決定に関する方針、並びに個人別の報酬等の内容について審議・決定し、その答申を踏まえ取締役会において支給額を決定しています。
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経営会議
当社は、経営会議を取締役会の下に設置しております。経営会議は、常勤取締役、常勤監査等委員及びCCO並びに子会社の役員・執行役員で構成されています。
経営会議では経営会議規程で定める事項、取締役会から権限委譲を受けた事項について審議・決定を行っています。また、リスクマネジメント規程に定めるリスク分類に係る事項の協議・決定を行い、定期的に取締役会への報告を行っています。 -
M&Aストラテジック会議、フィナンシャルストラテジック会議
当社は、経営会議の下に、M&A領域の関係会社を統括する「M&Aストラテジック会議」とファンド領域の関係会社を統括する「フィナンシャルストラテジック会議」を設置しております。両会議とも当社常勤取締役並びに子会社の取締役・執行役員等で構成されています。
当社及び関係会社間の情報共有及び戦略面での連携を図るほか、関係会社管理規程に基づき、当社所定の事項を実施する際の事前協議先、報告先としての機能も有しています。 -
内部監査制度
当社では業務執行上の内部監査制度を導入しており、業務執行においては法令や規程の遵守及び業務の標準化・効率化を常にチェックする体制としております。現在は内部監査室3名(うち、専任者1名)が担当しています。
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リスクマネジメント委員会
CCOを委員長とし、代表取締役社長の任命による委員で構成し、当社グループにおけるオペレーショナルリスクに対応すべくリスクマネジメント委員会を開催しています。
同委員会ではオペレーショナルリスクについてリスクの特定、分析、評価を行うとともに、対応策を検討の上、これに対するモニタリング・改善を行い、経営会議へ報告しています。また、他の経営全般に係るリスクについては経営会議が対象とするものの、同委員会にてリスクを認識した場合は経営会議へ具申するものとしています。
これにより、リスクが顕在化しないような仕組みづくりを不断に行い、かつ顕在化した場合は迅速な審議と意思疎通が行える体制を整えており、役員・社員が適切なリスクマネジメントを行えるよう励行とチェックを行っています。
また、リスクマネジメント委員会の有効性については、取締役会で評価し、適宜是正することとしています。事業環境の変化などに伴う対応策の全社通知や新たなリスク領域への対応が必要となった場合等、課題や対応状況について取締役会に報告の上、対処することとしています。 -
コンプライアンス委員会
CCOを委員長、常勤取締役1名、株式会社日本M&Aセンターの役職員3名及び顧問弁護士を構成員として定期的にコンプライアンス委員会を開催しています。コンプライアンス委員会はCCOの諮問機関としての活動のほか、相談・通報窓口機能も有しています。
その他、「役員の選解任に関する方針・手続き」や「後継者の計画」、「コーポレート・ガバナンス強化の主な取り組み」、「役員のトレーニング」、「役員報酬制度」、「取締役会の運営実績」、「任意の委員会の活動状況」、「取締役会実効性評価」、「政策保有株式」については、「統合報告書」にて情報開示を行っています。
詳しくは「統合報告書」57ページ以降をご覧ください。
取締役会の多様性
取締役会は、能力や幅広い経験、任期、年齢、そして性別を含む多様性を考慮した構成を目指します。当社は取締役に占める女性比率を2027年において21.4%、2030年において31.3%とすることを中期的な目標とします。(2023年(期初):14.3%)
「取締役会の多様性」について、詳しくは「統合報告書」にて情報開示を行っています。
詳しくは「統合報告書」65ページ以降をご覧ください。
経営陣のスキルマトリクス
当社の中長期的な経営戦略及び経営課題に基づいて、取締役に求めるスキル(知識・経験・能力)を設定しています。社内取締役には、主力事業であるM&Aに関連する知識やその周辺事業に関する相当の知見を備え、当社の事業を深く理解していることを求めています。また、社外取締役には、業務執行の監督等に活かすための異なる分野での専門性、豊富な経験及び幅広い知見を備えていることを求めています。
★・・・特に重視したスキル
経営戦略 | M&A コンサルティング |
M&A エクゼキューション |
PMI | ファンド ビジネス /IB |
海外 ビジネス |
B to C ビジネス |
サステナビリティ /ESG |
ブランド戦略 /マーケティング |
管掌経験 /部門長 |
財務 /金融 /会計 |
コンプライアンス | 人材育成 /人事労務 |
IOT /DX |
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三宅 卓 (代表取締役社長) |
★ | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||
楢木 孝麿 (専務取締役) |
● | ● | ● | ★ | ● | ● | ||||||||
大槻 昌彦 (専務取締役) |
● | ● | ★ | ● | ● | ● | ||||||||
竹内 直樹 (常務取締役) |
● | ★ | ● | ● | ● | |||||||||
武田 安央 (取締役) |
● | ● | ● | ★ | ● | |||||||||
森 時彦 (社外取締役) |
★ | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||
竹内 美奈子 (社外取締役) |
● | ● | ● | ● | ★ | |||||||||
錦戸 景一 (社外取締役) |
● | ★ | ||||||||||||
大里 真理子 (社外取締役) |
● | ● | ● | ★ | ||||||||||
清水 喬雄 (社外取締役) |
● | ● | ● | ★ | ● | |||||||||
平山 巌 (取締役 常勤監査等委員) |
● | ★ | ||||||||||||
山田 善則 (社外取締役 監査等委員・委員長) |
★ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||
松永 貴之 (社外取締役 監査等委員) |
● | ★ |
コンプライアンス
日本M&Aセンターグループは、コンプライアンス活動の継続を企業としての信用維持・向上に不可欠な要素として重視しています。
2021年の不祥事発覚後、再発防止に向けコンプライアンス基盤の整備に注力し、社内浸透を図ってまいりました。現在、M&A業界を取り巻く外部環境が著しく変化し、不当な目的でM&Aを実行する譲受け企業やお客さまへの不適切なサービスを提供する仲介業者が増えている中、日本M&Aセンターグループは中小企業庁やM&A仲介協会と一緒に自主規制ルールを設ける等、「最高のM&Aをより身近に」を実現するためにリーディングカンパニーとしてM&A仲介業界全体の信頼向上を目指します。
そのためにも、2024年度以降も継続的な取り組みを積み重ねることで、より信頼される会社になるよう努めます。
コンプライアンスの基本的な考え方
当社グループは、コンプライアンスを法令・社内規程の遵守のみならず、社会から期待される規範や倫理に従うことまでを含むと考えています。その考えを明確化するため、コンプライアンス規程にて関係法令や社内規程、社会規範を遵守し、公正・適切な企業活動を通じて社会的責任を果たす旨定めています。
そして、パーパス、フィロソフィー、グループコンプライアンス基本指針の周知徹底を行うことでコンプライアンス意識の醸成を図っています。
また、グループコンプライアンス体制の充実化を進めるとともに、教育面においても実効性のある研修を定期的に実施するなどコンプライアンスの浸透・定着のための取り組みを継続しています。
コンプライアンス基本指針
- 法令遵守
私たちは、企業としても個人としてもあらゆる法令・社内規程等を遵守し、社会規範に則った企業活動を行います。 - 情報管理
私たちは、お預かりした情報を貴重な資産として大切に取り扱います。また、秘密情報については漏洩が生じないよう細心の注意を払い管理します。 - インサイダー取引の防止
私たちは、インサイダー取引を発生させないよう、対自社内・対他社を問わず関連情報を厳に保持し、有価証券の売買に際しては事前申請を行います。また、関係者に対して注意喚起を行います。 - 業務プロセスの遵守
私たちは、関連法令及び会社が定めるルール、業務プロセスを遵守し最高の品質をお客様に提供します。 - 反社会的勢力との関係遮断
私たちは、反社会的勢力に対し毅然とした態度で臨み、反社会的勢力との間で取引・取引と疑われる行為をせず、その他一切の関係を持ちません。 - 差別・ハラスメントの禁止
私たちは、全ての人の人権を尊重し、いかなる差別・ハラスメントを許さず、行いません。 - 正確な記録
私たちは、全ての業務上の活動(営業・財務・会計・費用・勤怠・勤務等)について、適時・正確に記録します。 - 腐敗の防止
私たちは、関係者との健全な関係を維持し、公私の区別を明確にして、誠実に業務を遂行します。 - 相談・通報の責任
私たちは、コンプライアンス違反行為を発見した場合、上司または通報・相談窓口に報告・相談・通報します。
コンプライアンスの推進体制
当社は、コンプライアンス全般に係る事項を管掌するCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を中心に、CCOの諮問機関であり、内部相談・通報窓口機能を有するコンプライアンス委員会を、CCO及びコンプライアンス委員会の事務局であるコンプライアンス統括部をそれぞれ設置しています。
また、日本M&Aセンターには各部門にコンプライアンス責任者を、その他の主要グループ会社にはコンプライアンス・オフィサー(CO)を配置することで、コンプライアンス違反を未然に防止し、仮にコンプライアンス違反またはそのおそれのある事象が発生した際は、可及的速やかに対応できるよう体制を整えています。海外グループ会社についても、今後のクロスボーダーM&Aの拡大に対応できるコンプライアンス体制の構築を進めています。
コンプライアンス違反と疑義があったものに対する調査と対処の手順と結果
調査と対処の手順
コンプライアンスに抵触する何らかの問題が発生した場合、またはそのおそれがある場合やコンプライアンスの主旨に即して疑義がある場合等、コンプライアンスに関する問題を認識した役職員は、直ちに上長やコンプライアンス委員会を含む社内関係者に相談・通報すべきことが当社の相談・通報手続規程において定められています。相談・通報を受けた上長は、速やかにコンプライアンス委員会に当該問題を報告し、報告を受けたコンプライアンス委員会は速やかに委員会を招集し、相談・通報内容を検討するとともに、重要なものは相談・通報者の匿名性を保った上で代表取締役社長に報告を行います。代表取締役社長に報告される事案や対応状況については、グループ会社からの相談・通報事案を含め、その概要を取締役会にも報告しています。
コンプライアンス委員会は、相談・通報を受けた事案につき、相談・通報者、コンプライアンス疑義事象の当事者として報告された者や調査協力者のプライバシー、人権及び名誉等の保護に十分配慮した上で、必要な事実関係の調査を行います。
その結果は相談・通報者に報告されるとともに、コンプライアンス統括部における再発防止策の策定に役立てられます。また、違反者に対する処遇については、懲戒手続規程に則り、懲罰委員会により決定されます。
コンプライアンス統括部において社員教育とチェック機能構築を進めるほか、今後は人事本部と協力の上コンプライアンス遵守意識を組織文化として根付かせる施策を行っていきます。
内部相談・通報制度の充実・強化
当社グループでは、コンプライアンス委員会を窓口とした内部相談・通報制度を設置しているほか、外部の弁護士への相談・通報窓口も設置しています。いじめやハラスメント、利益供与や接待贈答などの腐敗を含むあらゆるコンプライアンス違反、あるいはそのおそれのある行為を知った時の相談・通報を受け付け、そのすべてに対して適時かつ適切な対応を実施しています。利用対象者は、海外を含む全グループの役員、社員、その他パート・アルバイト等の会社と雇用契約を締結した者、並びに出向契約等により受け入れる出向社員及び派遣社員(いずれも退職者を含む)です。これによりコンプライアンスの取り組み強化と違反の未然防止を図っています。相談・通報(事前相談を含む)は匿名でも行え、相談・通報内容の秘密は厳守されるとともに、相談・通報者が相談・通報によって不利益を被らないように、相談・通報者の保護を徹底しています。万が一、相談・通報者が不利益を被った場合には、速やかに救済・回復措置を講じるとともに、不利益な扱いを行った者に対して適切な処分を科します。当社グループでは全役職員に相談・通報窓口の利用を推奨し、早期の問題発見が可能になるよう取り組んでいます。また、上記窓口を社内ポータルサイトのトップページに明示し、相談・通報者保護の説明を含め繰り返し周知を行うなど、より相談・通報を行いやすい体制を構築しました。
相談・通報件数の推移
2022年度 | 2023年度 |
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62件 | 74件 |
具体的なコンプライアンス浸透策
日本M&Aセンターではコンプライアンス体制の一層の浸透のため、毎年全社員がコンプライアンス遵守の誓約をしています。
また、コンプライアンスの考え方やグループコンプライアンス基本指針を解説した「コンプライアンスハンドブック」、企業理念やパーパス、フィロソフィー、コンプライアンス基本指針に加え、相談・通報先、情報セキュリティ方針、災害時対策等が記載されている携行用冊子「MAstyle」を日本M&Aセンター全社員へ配布しています。海外拠点向けには、個別適切な方法により翻訳・伝達し、海外においてもコンプライアンスマインドの向上に努めています。
月次で行っている全社会議においても、毎回CCOよりコンプライアンスに関する注意事項の発信を行っております。
これらの取り組みの実効性検証のため、日本M&Aセンターではコンプライアンスに関する社員サーベイを2022年度から実施しています。定期的にサーベイを行うことで、社内のコンプライアンスに対する認識を定点観測できるようにしています。2023年度のサーベイ結果では、2022年度と比較し全体的にコンプライアンスに関する認識の数値が向上していることが確認できました。引き続きコンプライアンスに関する取り組みを進めてまいります。
社員サーベイ コンプライアンス項目例 肯定的回答率
質問 | 2022年度 | 2023年度 |
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会社のコンプライアンス意識は高く保たれている | 44% | 74% |
会社はコンプライアンス事案に対して適切に対処している | 57% | 79% |
私の組織には、売上・効率のみならずコンプライアンスとの両立を重視する雰囲気がある | 75% | 70% |
私はコンプライアンス問題を目にした場合の相談・通報方法を知っている | 84% | 93% |
実効性のあるコンプライアンス研修・教育の実施
当社グループはコンプライアンス統括部を主幹部署として、定期的にコンプライアンス研修を実施しています。日本M&Aセンターでは、正社員のみならず契約社員を含む全社員に拡大し、2023年度から導入しているeラーニングなども活用しながら、全社員向けの研修に加えマネジメント層向けに、別途研修を行うなどコンプライアンス意識の醸成を図っています。また、座学研修以外の教育プログラムも順次策定・実施しています。
その他、「CCOのメッセージ」や「コンプライアンス強化の主な取り組み」や「コンプライアンスeラーニング研修内容」については、「統合報告書」にて情報開示を行っています。
詳しくは「統合報告書」53ページ以降をご覧ください。
腐敗防止
事業における腐敗のリスク評価
各国でビジネス展開を行うにあたって、各国の法規や国際規範において企業に求められている腐敗行為防止への対応を理解し、社会の疑念や不信を招くような接待贈答や、不正な利益を得るための金銭その他の利益供与などの腐敗リスクについては社内外の弁護士を交えて検討し、必要な防止策を講じます。加えて、海外ビジネスに従事する役職員については、新興国における接待贈答、利益供与等の腐敗に関わる一部の商習慣を海外事業固有の腐敗リスクと認識し、共有するための研修を行っております。
政治献金
当社グループは政治資金規正法等の法令を遵守しています。
政治家個人への寄付は行っておらず、政党や政治資金団体への寄付や政治資金パーティー券を購入する場合は適法に行っています。
(当社グループの政治献金の総額は、2020年度 0円、2021年度 0円、2022年度 17万円、2023年度 14万円でした。)
腐敗防止方針の違反に起因する従業員の処分及び解雇件数、腐敗に関連する罰金、罰則、和解にかかるコスト
0件・0円(2022年度)
リスクマネジメント
日本M&Aセンターグループは、グループに不利益を生じさせる可能性のある重要なリスクを組織的にマネジメントし、損失の回避及び最小化を図っています。
リスクマネジメント体制
CCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を委員長とし、グループにおけるオペレーショナルリスクに対応するリスクマネジメント委員会を定期的に開催しています。同委員会にて、リスクの特定・分析・評価を行うとともに、対応策の検討・進捗のモニタリング・改善を実践しています。その結果は、経営会議に報告または提言されるとともに、取締役会への定期的な報告が行われています。また、必要に応じて顧問弁護士等の外部専門家の指導・助言等を受けています。
なお、オペレーショナルリスク以外の他の経営に係るリスクについては、経営会議にてマネジメントされているものの、同委員会にてリスクを認識した場合は経営会議へ具申しています。
これにより、リスクが顕在化しないような仕組みづくりを不断に行い、かつ顕在化した場合は迅速な審議と意思疎通が行える体制を整えています。
リスクマネジメント委員会の有効性については、取締役会で評価し、適宜是正しています。
事業環境の変化等に伴う対応策の全社通知や新たなリスク領域への対応が必要となった場合は、課題や対応状況について取締役会に報告の上、対処しています。
事業への影響度が大きくリスクの顕在化の可能性が高いリスクへの主な対応方針
- 情報管理に関するリスク:
情報管理にかかる各社内規程・ルール遵守を徹底する。
- M&A仲介業界のレピュテーションリスク:
中小企業庁・M&A仲介協会と連携し、ガイドライン・自主規制ルールにかかる同業他社を含むM&A仲介者の遵守を実現する取り組みを進める。
- 人事・労務リスク:
中間管理職層に対する労務管理研修の強化並びに組織文化のアップグレードに取り組む。
受託時におけるESGリスクの確認
日本M&Aセンターでは、案件受託に際して、譲渡の可能性、譲渡理由、案件の信頼性、概算価格などを検討し、受託審査(リテインチェック)を実施します。受託審査は当社のリスク管理上重要な役割を果たすのみならず、当社の案件の信頼性向上に寄与しています。
当社では2021年1月より、この受託審査において、新たにESG面でのネガティブスクリーニング項目を追加いたしました。土壌汚染や水質汚染・公害の発生、労働災害事故の発生、製品による健康被害、外国人労働者に対する強制帰国、不法就労の助長・強要、賃金・残業代未払い、公職者との癒着など、ESGの視点において、公然化している問題点があるかをチェックしています。
受託審査の結果、ESGリスクが発現した場合、他のチェック項目も併せて総合的な判断を行ったうえで、案件としての採用可否を決定いたします。
2021年度においてESGリスクがあると判定した受託件数は14件でした。
その他「リスクマップ」について、「統合報告書」にて情報開示を行っています。
詳しくは「統合報告書」67ページ以降をご覧ください。
情報セキュリティ
日本M&Aセンターグループの業務における守秘義務の重要性は非常に大きく、ステークホルダーから期待される要求事項を満たすだけでなく、M&Aプロフェッショナルとしてのあるべき姿も考慮し、情報セキュリティの適切なマネジメントに努めています。
当社グループでは、「情報セキュリティ方針」を策定するとともに、情報セキュリティに関するルールの遵守及び安全対策の徹底に取り組んでいます。
情報セキュリティ推進体制
情報セキュリティ戦略の策定や実施状況の評価は、CISO(Chief Information SecurityOfficer)を責任者とするグループセキュリティ統括機能において実施しています。
CISO配下の情報セキュリティ部にはインシデント対応を担うCSIRT(Computer Security Incident Response Team)※1と、セキュリティ業務を担うセキュリティ担当が設置されています。
CSIRT及びセキュリティ担当の活動内容はCISOを通じて、経営会議に定期的に報告されています。
なお、リスクマネジメント委員会においても、情報セキュリティリスクの低減について、定期的に対応策の検討、モニタリングを行っています。
※1 セキュリティインシデントが発生した際に、対応を実施する専門チーム
【セキュリティ相談会議】
新規取り組みやサービス利用等に関するセキュリティ相談案件について、セキュリティリスクを明確にした上で対応方針を決定し、指示を出す。リスク評価の結果・残存リスクの度合い等により、必要と判断したときはリスク判定会議に上程する。
【リスク判定会議】
セキュリティ相談会議から上申された案件のリスクと損失を再確認し、対応事項の追加等を検討し、実施の可否を総合的に判定する。コンプライアンス・リスクマネジメント部門等の社内有識者で構成される。
【セキュリティ連携会議】
グループ各社の情報セキュリティ及び情報システム担当者間の連絡会議。当社所定のセキュリティ報告書を用いて定期的に各社の状況把握を行う。また、脅威とその対応方針を共有することでグループ全体のセキュリティ対策レベルの引き上げを図る。
【CSIRT】
セキュリティインシデント発生時の状況把握と対処、被害抑制、復旧と再発防止策の実施及びハンドリングを行う。
【セキュリティ担当】
セキュリティ対策と計画の状況把握と全体統括を行い、セキュリティインシデントを未然に防ぐ。
【情報セキュリティ部】
各連結子会社のIT部門 / セキュリティ担当と連携しており、セキュリティインシデント発生時や未然の防止策実施においてはグループ全体で協力し、対応にあたる。また、情報セキュリティ教育の企画・実施も行う。
情報セキュリティマネジメントシステム
社外の専門家を活用した安全性の高いシステム構築を行っています。2016年5月25日、株式会社日本M&Aセンター及び株式会社企業評価総合研究所は情報管理の徹底と継続的な改善を図るため、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格であるISO/IEC27001の認証を取得しました。また、ISMS内部監査を通じてその運用状況の妥当性の検証を行っています。
情報セキュリティリスク対応計画、及び継続的に対処する必要のある情報セキュリティリスクへの対応については、リスク承認プロセスを継続的に循環させることでセキュリティリスクの低減を行っています。
ISMS認証取得について
個人情報保護の取り組み
当社グループでは「個人情報保護方針」を策定し、各社のWebサイト上で公表しています。同方針を全役職員に周知徹底するとともに、確実な履行に努めています。
その他、「情報セキュリティの取り組み」の詳細や「CISOのメッセージ」は、「統合報告書」にて情報開示を行っています。
詳しくは「統合報告書」68ページ以降をご覧ください。