日本M&Aセンターホールディングス

M&A

日本M&Aセンターホールディングス

日本M&Aセンターグループの最重要な経営資源は、“人材” すなわち“社員”です。社員の成長と活躍があってこそ、「最高のM&Aをより身近に」というパーパスの実現が可能となります。したがって、社員が活き活きと働くことのできる組織や環境の構築は、マテリアリティの最重要な構成要素であると考えています。 現在当社では、2022年度に制定したフィロソフィーの浸透に注力し続けています。フィロソフィーはパーパスを実現するための全社員の行動規範・判断基準であると位置づけ、採用基準から人材育成、人事評価まで共通の指針としています。加えて、2024年度の経営テーマとして「自律したプロフェッショナル集団へ!」を掲げ、社員一人一人のプロ意識の醸成や成長支援に向けて、様々な施策を立案し、その活動を展開しています。

各情報は「統合報告書」でも開示を行っています。

人権

人権に関する取り組み

日本M&Aセンターグループでは、国際連合が提唱する「国連グローバル・コンパクト(以下、UNGC)」に賛同を表明する署名を行っており、世界人権宣言や国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、ILO中核的労働基準の4分野すべての考え方を尊重し、グループコンプライアンス基本指針において人権尊重の取り組みを推進しています。採用や登用においては、国籍・人種・宗教・出身地・性別・年齢・障がいの有無等での差別を行わない方針を堅持しています。また、子どもの人権に関し、特別な配慮が必要であるとの認識のもと、「子どもの権利とビジネス原則」の国際規範に賛同し、事業における子どもの権利の保護と推進を図ります。

人材戦略

一気通貫の採用~育成~活躍支援体制

中堅・中小企業のM&A仲介業は、当社が生み出したビジネスモデルであるため、採用市場には即戦力となる人材がほとんど存在しません。そのため自社にて、潜在能力の高い優秀な人材を採用・育成し、中長期にわたり活躍ができる環境を整えることが、当社の「成長」と「成功」に起因すると考え、採用~育成~活躍支援までを一気通貫した体制で推進しています。
組織設計においては、多種多様な人材を組織に取り込めるよう、一人一人の経歴や適性を丁寧にレビューした上で、新卒採用・中途採用いずれにおいても、配属部署や職種を決定しています。入社後は1か月から2か月にわたりじっくりと導入研修を行い、未経験者であってもM&Aコンサルタントして一人前になるまで、しっかりと活躍支援する体制を整えています。これらの理念は、2020年度に掲げた「人材ファースト」の旗の下、社員のキャリアに寄り添う組織体制の強化を目指しています。

組織文化(パーパス・フィロソフィーの制定と浸透)

パーパス及びフィロソフィーを共通の価値観として社員に浸透させていくことは重要なテーマです。パーパス制定後、各部門の役員と社員とが1対1で「ビジョン面談」を実施しました。自身のパーパスを設定し、パーパスを「自分ごと」として捉えることで会社の成長と自身の成長の実現を目指すことを目的としています。フィロソフィーは、現在採用時における選考指標や社員の人事考課の軸となっています。研修や経営陣からのメッセージの発信などフィロソフィーの浸透のために様々な取り組みを行っています。浸透度合いの状態チェックのため、フィロソフィー浸透度サーベイも実施しました。

優秀な人材の採用

採用活動においては、毎月実施している社長をはじめとする役員が登壇するイベントや、学生向けにはインターンシップやワークショップ、YouTube配信などを活用して積極的に情報発信を行い、当社グループの事業内容や成長戦略への理解を深める取り組みを実施しています。
また、パーパスへの共感性の高い人材を確保するため、現役社員からのリファラル採用にも力を入れています。

YouTube配信企画では、M&Aコンサルタントへの1日密着動画や中途新入社員向けの入社時研修の様子、M&Aコンサルタントのキャリアストーリー等を公開しています。
https://www.youtube.com/@nihonma/videos

人材の早期育成・戦力化と定着

人材育成については、目的別、階層別の研修プログラムを策定し、充実したカリキュラムに基づき体系的な教育を実施しています。コンサルタント及びコーポレート・スタッフそれぞれに対し、「経営幹部」「中間マネジメント」「メンバー」の3階層の人数比と経験値を見ながら、年度毎の注力対象を決めています。2021~2022年度には、グループリーダーや課長などの中間マネジメント層の強化を行ってきました。積極的な採用活動により若手人材の層が拡大しているため、2023年度は特に、入社3年目以下の早期育成・戦力化と定着を目指しています。さらには、タレントマネジメントシステムの導入により、各社員の得意分野や希望を、人事配置やプロジェクトチーム編成に活かす試みも開始しました。 2023年度の全社の退職率は16.9%でしたが、中長期的には11~12%水準の維持を目標としており、評価制度の見直しやキャリアプランの整備など定着率改善のための取り組みを推進しています。

研修制度について一部を抜粋して紹介します。

新入社員研修

新卒採用・中途採用問わず、職種ごとに1か月から2か月間にわたって丁寧に研修を実施しています。内容としては、基本的なビジネスマナー、M&A仲介業界の知識だけではなく、コンプライアンス教育にも注力しています。

中間管理職研修

新任のマネージャーをはじめ、中間管理職のマネジメント力強化は当社ビジネスの成長に不可欠な重要事項と捉えています。生産性・業務効率を考慮しながらのタスク・マネジメントやピープル・マネジメントを養ってもらいます。
・部長研修(階層別)
・マネジメント研修(階層別)

トップマネジメントからの特別研修

社長や役員が直接の指導役となり、中核コンサルタントや若手コンサルタントに対して、基本合意~成約までのケーススタディ紹介、ロールプレイングやディスカッションを通じて、顧客に寄り添う姿勢や実践的なノウハウを習得する機会を提供しています。また、当社はリーディングカンパニーとして業界全体の人材レベルの引き上げや品質向上に寄与することを目的としています。 ・若手コンサルタント育成(選抜型)
・トップコンサルタント育成(選抜型)
・エグゼクティブ・コーチング(選抜型)

教育体制

  • 教育体制

労働慣行とダイバーシティ

業務効率化と働き方

グローバル企業である当社グループは、各国が定める法令・規則について、制定された目的を理解し、誠実に遵守しており、日本国内においては労働基準法に基づいて社員代表と「時間外勤務及び休日勤務に関する協定(36協定)」を締結し、適正な労働時間を遵守しています。業務の効率化を推進し、長時間労働の削減により、個人・家庭生活及び仕事の面で精神的・健康的・経済的に豊かでバランスの取れた状態を目指しています。コーポレート・スタッフ系を対象としたフレックス勤務制度の導入や、一部の部署では個人の固定席を設けず業務内容などに応じて自由にその日の座席を選択できる「フリーアドレス」を導入し、社内コミュニケーションの活性化と業務効率の向上を図っています。

健康で安全な職場の実現

社員の健康は、会社の成長と成功における必要条件です。当社は、2024年4月に当社グループ健康保険組合を設立しました。同組合では選択型福利厚生制度「3KMプラン(カフェテリアプラン)」を導入しており、従業員各自が付与されたポイントを使って、健康増進やリフレッシュなど、自由にメニューを選択することができます。 健康診断の受診率は引き続き100%を実現しており、健康診断費用については法定項目を大きく上回る水準の会社補助を行っています。毎年行うストレスチェックのリスク指標においても、全国平均を大幅に下回る結果となっています。また、必要に応じて産業医やメディカルカウンセラーによるカウンセリングが受けられるよう支援体制を拡充しています。2024年7月からは社員向けの『人事ポータルサイト』をオープンし、上記カウンセリングの窓口を明記したほか、労務・人事関連の問合せFAQの整備、窓口の明記を行いました。いじめやハラスメント、その他労務に関する相談・通報は、内部相談・通報窓口でも受け付けています。
ほかにも、MA6の課外活動や全社ゴルフ・コンペ、フィナンシャル・ランナーズ駅伝大会への参加推進等、社員によるスポーツ活動を積極的に支援しています。このように当社では健康経営の一環として社員が活き活きと健康で安全に働くことができる職場環境の整備に努めています。

育児との両立支援

子育て中の社員に対して、ベビーシッターの支援金制度や、小学4年生の始期に達するまで短時間勤務を延長できる制度を設けており、家庭との両立に向けて制度拡充を行っています。2024年度は新たに子の看護休暇を有給化したほか、子が1歳になる前に復帰した社員に対して保育料を支援する早期復職支援策を試験導入しました。

社員国籍の多様化

事業のグローバル化の進展に伴い、外国籍社員及び海外現地社員の登用を積極的に進めています。機会均等や人材の相互理解の観点からも、海外拠点社員と営業活動の方法や市場環境に関する情報交換を行う勉強会や海外会計事務所の研修ツアーなども開催しています。

ダイバーシティ&インクルージョン推進

多様性こそがイノベーションを生み出すという思想のもと、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進しています。2022年度に特に緊急度の高い分野として「女性活躍推進プロジェクト」を立ち上げ、2023年度以降、各種数値目標も設定し、本格的にD&Iの取り組みを展開しています。

定量目標

(期初) 2023年 2027年 2030年
女性役員比率 14.3% 21.4% 31.3%
女性管理職(課長以上)比率 16.1% 21.1% 21.9%
女性社員比率 27.8% 28.9% 30.2%

D&Iコンセプトムービー

D&I推進にかける想い、D&Iプロジェクト発足に至った経緯、そしてD&Iプロジェクトの取り組み内容について、トップマネジメントやプロジェクトオーナーにインタビューしました。
また、プロジェクトの取り組みである女性コンサルタントの活躍支援や男性社員の育児休業取得推進、海外拠点ナショナルスタッフとの連携について、社員の声もお聴きいただけます。

フィロソフィーを指針とした人事評価制度

採用における選考基準や、社員の人事評価における評価項目は、フィロソフィーを軸に設計しています。フィロソフィーをより具体的に体現し、定量・定性いずれの目標も高く達成した者が高い評価を得る仕組みを取り入れています。その評価結果は上司との定期的な1on1面談によりフィードバックされます。
また、執行役員以上の社員にはリーダーシップ醸成の観点から「360度フィードバック」を取り入れ、周りの社員から被評価者の強みや弱みに関する情報を集め、本人にフィードバックしています。受け取った結果から適切に自身の長所や改善すべき点を認識し、次に目指す姿を明確にイメージすることでスピード感のある成長循環を創出し、フィロソフィーを体現するリーダーとなっているかのチェック機能を果たしています。

優秀者表彰制度(MVP、ディール・オブ・ザ・イヤー)

上半期、下半期の計二回、成績優秀者を対象に表彰制度を設けています。単純な営業成績だけでなく、案件内容を確認し、社会的意義の大きさや、マッチングのアイデアにより大きなシナジー効果を実現した案件など、質の高さを評価しています。個人を対象としたMVPに加え、案件に関わったメンバー皆がチームとして表彰されるディール・オブ・ザ・イヤーがあります。

100%応援型社員持株会

社員が自社の企業価値向上を株主と同じ視点で強く意識することを目的として、社員持株会において特別応援制度を導入しています。このプログラムにおいては、社員の拠出に会社が同額(100%)の奨励金を提供しており、グループの企業価値向上と社員の資産形成の両面から充実を図る取り組みとなっています。また、2024年度からは四半期毎の社員向けの決算説明会を開催しています。

社員サーベイ

1~2年に1回、社員サーベイを実施しています。「社員の声」とも言えるその結果は、各種の教育プログラムや人事施策に結実しています。進捗をよりタイムリーにチェックするため、3か月に1回のパルスサーベイを導入しました。今後も定期的なモニタリングを継続し、社員のエンゲージメント向上に注力していきます。

インナーコミュニケーションの強化

当社では、「3KM」(個人(Kojin)・ 家庭(Katei)・会社(Kaisha)の“三つのK”について、「意欲(Motivation)」を高め、「目標(Mark)」 による「管理(Management)」(“三つのM”)していくこと)を、 経営思想・組織文化の根幹に置いています。例えば、上司と部下の面談の中では3Kすべてに触れ、キャリアや業務にとどまらず、「人として最高に幸せになるためには」という視点で議論を行うことを推奨しています。
さらに成績優秀者をパートナーとともにディズニーランドへ招待したり、ファミリーイベントを開催したり、家族向け広報誌を発行するといった社員の家族も対象とした取り組みも行っています。
また、部署を超えたネットワーキングとチームビルディングを推進するため社内部活動「MA6」(「みんなでアフター6」の略)を支援しています。2023年度は約100件のコミュニティーやクラブ活動が実現し、バスケットボール部、野球部、軽音楽部、ワイン会、ヨガ・クラブ、ゴルフ大会、駅伝チームなど積極的な活動を展開しています。

地域社会との関係

地域社会の雇用と産業を守る

日本M&Aセンターグループは、M&A業務の提供を通じて企業の存続と発展や雇用の維持により地域社会の活性化に貢献します。

日本M&AセンターグループM&A仲介による経済損失回避効果

日本M&Aセンターグループは後継者不在などの経営課題を抱える企業等に戦略的なM&A実行の支援を行い、雇用の維持・増加等に貢献しています。その経済効果は以下の通り試算されております。

※矢野経済研究所調べ

1.基本情報

対象期間 2023年度
対象譲渡企業数※ 512社
譲渡企業の売上高合計 3,367億円

2.現在の経済損失回避効果及び労働誘発効果

現在の経済損失回避効果 3,345億円
労働誘発効果 2万3,795人

3.将来の経済損失回避効果

将来の経済損失回避効果(3年) 9,496億円
将来の経済損失回避効果(5年) 1兆5,139億円
将来の経済損失回避効果(10年) 2兆5,438億円

公的機関への協力

日本M&Aセンターグループでは行政機関の行う中小企業政策に対して積極的に協力しています。
また、当社では地域創生専任担当者を置き、各地の事業引継ぎ支援センターとの連携を強化し、地域の事業承継問題解決に貢献します。

社会・文化支援活動

「企業は利益の追求とともに、社会的・文化的貢献をしなければならない」との考え方に基づき、社会性・公共性を勘案した寄付や文化支援を行っております。

主な実施内容

財団・NPO等を通じた地域社会へ助成活動

日本M&Aセンターでは、社会貢献活動に取り組んでいる財団・NPOに対して寄付による支援を行っています。2023年度は総額で58,753,130円の寄付を行いました。

企業版ふるさと納税を活用した地方創生への助成活動

日本M&Aセンターグループは、「FC今治」を運営する株式会社今治.夢スポーツの掲げる「スポーツやビジネスを起点とした地域創生」という思いに共感し、2021年3月にエグゼクティブパートナー契約を締結しました。“地方創生パートナー”としてFC今治の活動、地域づくりや人材育成を支援しております。2021年度からは企業版ふるさと納税を活用し、今治市「FC今治サッカー専用スタジアム建設プロジェクト」(里山スタジアムプロジェクト)に対して寄付を行っています。

教育・学術支援

2023年12月に組織を改編し、M&A研究・産学官連携推進室を設置しました。これは、アカデミアと連携して中小M&A研究の発展に取り組むとともに、その成果を業界における抜本的な質の向上などに役立てるための組織です。
神戸大学大学院経営学研究科とは、2022年に中小M&A研究教育センター(通称、MAREC)を立ち上げており、専業の研究者とともに中小M&A研究及び寄附講座の運営を行っております。MARECでは、広く研究助成や懸賞論文も募っており、在野の研究者の掘り起こしや中小M&A研究の裾野を広める活動を精力的に行っています。
また、早稲田大学商学部には2021年から毎年、寄附講座「起業家養成講座Ⅰ」を開講しています。ここでは、M&A視点からの学生起業家やベンチャー経営者の育成を行っており、実際に学生起業家を輩出しています。毎年同大学で行われる「ビジネスモデル・コンテスト」は約30年の歴史があり、当社からは審査員を派遣しております。
2024年4月からは、京都大学経営管理大学院においても、寄附講座を開始しています。これらの取り組みの成果は、MAREC主催のシンポジウムという形で世の中にフィードバックしており、今年9月には第3回シンポジウムを開催しました。2025年には、中小M&A学会の設立を目指しています。
そのほか、"M&Aを知っている人"の裾野を広げる取り組みとして、全国の小学校・中学校・高校への出張授業を実施しています。

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