お知らせ / プレスリリース
【創業30年超の老舗中堅・中小企業1,000社対象】事業承継に関する意識調査
老舗企業の傾向:後継者候補決定率が75%と平均の2倍以上の高さ。
しかし意思確認済みは3割のみ
当社は、2018年7月に、「創業30年超の老舗中堅・中小企業の事業承継に関する意識調査」を実施、1,000社の有効回答を集計しました。
老舗中堅・中小企業は一族経営が多く、6割が創業家一族の親戚関係で承継されてきました。
全国の後継者不在率は66.5%ですが、老舗中堅中小企業の75%が「後継者候補がいる」と回答しています。また、後継者候補については、半数以上が「子供」だと回答しています。にもかかわらず、子供に事業を継ぐ意思について「直接、何度も聞いたことがある」と回答しているのはわずか3割で、家族間で積極的にはコミュニケーションをとっていないことが予想されます。さらに「後継者候補が事業に興味を持って積極的に話を聞いてくるか」という質問に対し、35%が「あまり、あるいは全く話を聞いてこない」と回答。後継者候補が、継ぐ予定の事業に興味を持てていない可能性もあります。
調査結果総括
老舗の中堅中小企業は親族承継が多い
後継者候補の決定率は75%と平均の2倍以上の高さ
これまでの株式の承継者は、創業家一族とその親戚のみと答えた老舗企業が73%に上り、親族承継が一般的であることがわかる。 後継者候補の有無について、「信頼できる後継者候補がいる」「任せてよいか迷っているが後継者候補がいる」と回答した人は合わせて75%となり、平均※に比べて極めて高い後継者候補決定率となっている。
※全国後継者不在率は66.5%(2017年帝国データバンク)後継者は子供である割合が約半数と高い
ただし子供に事業を継ぐ意思について「直接、何度も聞いたことがある」と回答しているのはわずか3割
老舗企業の後継者候補は56%が「子供」であった。長く続く企業ほど、承継する次世代側も自身が後継者と認識している場合が多く、通常の企業よりも後継者決定率が高くなっている可能性がある。一方で、子供に事業を継ぐ意思について「直接、何度も聞いたことがある」と回答しているのはわずか3割にとどまり、家族間のコミュニケーションが不足している可能性がある。
後継者候補は、継ぐ予定の事業について興味を持てていない可能性がある
「後継者候補の方は、事業について興味を持ち、話を聞いてくることはあるか」という質問に対して、35%が「あまり聞いてこない、あるいは全く聞いてくることはない」と回答した。後継者候補が、継ぐ予定の事業に興味を持てていない可能性もある。
考察
創業30年を超える老舗の中堅・中小企業の場合、一族の間での承継が多く、後継者候補の決定率は一般平均の2倍以上と高くなっています。一方で、子供に事業を継ぐ意思について「直接、何度も聞いたことがある」と回答しているのはわずか3割で、家族間で積極的にはコミュニケーションをとっていないことが予想され、この差が実態としての後継者不在や廃業などにつながっている可能性も考えられます。
社長の中では後継者候補を決定していても、直接後継者候補が積極的に事業に関して話を聞いてくるほどの興味を持てていないということも浮かび上がってきています。興味を持って経営し、成長拡大させていくモチベーションを後継者候補にイメージさせることが、今後の企業の発展の鍵になってくると考えられます。
まずは、家族会議をひらくなどして、親子間あるいは後継者候補人材とコミュニケーションを密にとり、承継にあたっての課題を共有したり、事業に興味を持たせたりするような工夫が必要なのではないでしょうか。
「創業30年超の老舗中堅中小企業の事業承継に関する意識調査」概要
- 調査対象:老舗の中堅・中小オーナー企業
(老舗企業は業歴30年超と定義。売上高は50億円以下) - 調査期間:2018年7月
- 調査方法:郵送
- 調査地域:全国
- 有効回答数:1,000社