[M&A事例]Vol.145 地元優良企業の経営危機。初M&Aで譲受けを決めた経営者の決断
北海道全域で道路の舗装工事を行う道路建設は、当初掲げていた条件とは異なる企業を譲り受けます。M&Aから1年たった今、決断の背景と現在の状況を伺いました。
譲渡企業情報
※M&A実行当時の情報
東三河地域で戸建建設業を営むカスタムハウジングコーポレーションは、1993年の設立以来、地元に密着した顧客第一の家づくりで豊富な実績と高い知名度を誇ります。同社は、経営は順調だったものの後継者不在の課題を抱えていました。その課題解決と会社のさらなる発展を願って藤澤 伸安社長が選択したのがM&Aでした。顧客のため、従業員のため、取引先のために譲渡先を決めるまでを詳しくお聞きしました。(取材日:2023年2月6日)
――カスタムハウジンハウジングコーポレーションは藤澤社長が一代で築かれた会社ですね。
譲渡企業 カスタムハウジングコーポレーション 藤澤様: 会社設立前は建設会社で役員として働いていましたが、地元である東三河を活気ある街にしたいとの思いから独立を決意し、1993年に設立しました。「地元のお客様を大事にする」という理想を掲げ、一貫して東三河のお客様に向けた経営をしてきました。 設立から約30年、ありがたいことにお客様からの紹介で仕事をいただくことも多く、そのたびに今までやってきたことが間違いではなかったと実感でき、そのうれしさは事業を続けるモチベーションとなりました。
――経営者として大切にしてきたことはありますか。
藤澤様: 目配り、気配り、これに尽きます。特に、従業員とお客様の会話は注意して聞くようにしていました。お客様がつくりたい家の方向性と、われわれの提案する家づくりの方向性がずれてしまうと、お客様に喜んでいただくことはできません。また、こちらが家を売ることに徹しているのか、それとも親身になって考えてくれているのか、お客様は見抜いてしまいます。売ることに徹していると信頼を生み出すことはできませんし、家づくりを任せようと思っていただけません。お客様の気持ちに寄り添い、プロとして客観的なアドバイスができるよう心掛けてきました。
――カスタムハウジングの家づくりはどういうものでしょうか。
藤澤様: お客様の声に耳を傾け、常に「相手の立場に立って物事を考える」家づくりをご提供してきました。完全注文住宅のTHE CUSTOMブランドはその代表です。お客様からの要望を丁寧にヒアリングし、住む人の発想にこだわった家づくりを行っています。 お客様が気にされる最大のポイントは、やはり資金面の問題です。高いお金を払えばそのぶん良い家はつくれますが、限られた予算の中で丈夫でキレイな最高の家を提供するのが、プロの仕事と認識し誠意をもって対応しています。
近年は大型案件の減少や東三河エリアの人口減少、大手企業によるローコスト住宅の参入など競争が激化しています。これまで多くの住宅を手掛けたノウハウや知識を活かし、きめ細やかなサービスをご提供し、お客様の大切な財産となる家づくりをお任せしたいと思っていただくことこそ、当社が存続・発展していく源泉であると考えています。
――今回、M&Aによる譲渡を決断された理由をお聞かせください。
藤澤様: 65歳を過ぎた頃から、後継者が決まっていない状況にたいして新たな人材を採用して良いのか悩むようになりました。せっかく入社してもらっても、その人が育った頃に私が引退するような事態になったら申し訳ないと思ったからです。一方で、娘や従業員に会社を引き継いでもらうのも荷が重く簡単ではないだろうとも感じていました。そこで、会社の将来のことを見据えM&Aで譲渡することを考え始めました。 雇用の確保や取引先との関係継続だけでなく、新たな人材を採用することで会社を発展させることを望めると考えました。
――譲渡企業を決める上で条件はありましたか。
藤澤様: 希望する条件は、従業員の継続雇用や取引先との関係維持に加えて経営管理責任者を派遣いただくこと。さらに営業2名、施工管理者を2、3名確保したいと伝えていました。大変大きな要望であると自覚していましたが人員の問題で、やむなくお断りしていた仕事もありましたので、その点を改善できる相手先を探していました。
また、東三河で戸建建設をやりたいという強い意思をもった企業であることです。 これまで私は地元を大事に考えて事業をしてきましたので、投資目的ではなく事業をしっかりと引き継いでくれる企業であることを重視していました。
――実際に相手探しを進めてみていかがでしたか。
藤澤様: 最初は日本M&Aセンターとは別の仲介会社に相談したり、企業から直接お話をいただいたりしていました。 最終段階まで進んだ案件もありしたが、なかなか託したいと思う企業に巡り会うことはありませんでした。 これまで支えてくれた従業員、取引先、お客様を託すことになりますので、どんな相手でもいいわけではありません。方向性が定まらず時間ばかりが過ぎていく中で、一度はM&Aの選択をやめようと思ったこともありました。
おかげさまで創業以来、業績も良く安定した経営を継続してきましたし、借入などの心配もありませんでした。少しずつ業務を縮小するなど別の方法も検討しようかと、お世話になっていた会計事務所の担当者に相談したところ、日本M&Aセンターをご紹介いただきました。
振り返ってみると、普段から会社の状況について話をすることができていた会計事務所の存在は、M&Aの進行において大きな支えになりました。 特に会社が保有する収益物件や株式の扱い、退職金に関することなどを相談できたことは非常に心強かったです。また、会計事務所と日本M&Aセンターの担当者同士が連携してくれたことで、私の負担も軽減されたと実感しています。
2022年10月にナカミライズホールディングスをご紹介いただき、翌月にトップ面談をしました。同時期に別の企業にもお会いし、両社から意向表明をいただきました。 どちらも愛知県内の素晴らしい企業でしたが、すでに建設不動産の事業を手掛けていて施工管理ができる状況であること、今後の人材の獲得などの条件面からナカミライズホールディングスさんと交渉を進めることにしました。
――藤澤社長は、ナカミライズホールディングスのどんなところに魅力を感じましたか。
藤澤様: トップ面談では、中村 陽公代表とご子息の太紀社長にお会いしましたが、人間味豊かな陽公代表と若さと活力に溢れる太紀社長の気品ある人柄に魅了されました。 私自身74年間、多くの人と関わってきましたので直感的に「このお二人になら会社を託せる」と強く感じました。
会社としてもナカミライズホールディングスは東海市にあり営業エリアが離れているので事業規模の拡大も見込めますし、近年は資材高騰の影響も受けていますので、建材や住宅設備といった資材調達のプロセスを一本化することで調達費を抑えることもできます。積極的に新卒採用に取り組まれていることも人材確保の観点で魅力でした。――今後に期待していることを教えてください。
藤澤様: 目まぐるしい速さで変化する社会情勢や経済環境において、変化に対応する企業が生き残れるというのが時代の趨勢です。移り行く時代の流れに柔軟に対応するナカミライズホールディングスの経営方針をどんどん取り入れ改革していただき、目覚ましい変化を見たいと思っています。 私自身一年ほど引継ぎを予定しておりますが、より強い企業体を目指す覚悟と決意を持ったナカミライズグループの一員として、従業員と共に成長し進化と発展に力を尽くし地域・社会で必要とされるよう邁進してまいります。
北海道全域で道路の舗装工事を行う道路建設は、当初掲げていた条件とは異なる企業を譲り受けます。M&Aから1年たった今、決断の背景と現在の状況を伺いました。
自前でPMIに取り組む難しさを痛感して日本PMIコンサルティングのPMI支援サービスを利用。ご自身の経験からPMIの難しさと効果について伺いました。
空調・換気・給排水衛生設備工事、冷凍冷蔵設備を展開する三共ホールディングスに。空調施工会社を譲受けた目的、企業の譲受けで大切にしていることを伺いました。
まずは無料で
ご相談ください。
「自分でもできる?」「従業員にどう言えば?」 そんな不安があるのは当たり前です。お気軽にご相談ください。
提携統轄事業部 コンサルタント戦略営業部 グループリーダー 古市 光 (株式会社カスタムハウジングコーポレーション担当)
藤澤社長が築き上げられた会社は、東三河では知らない人がいない程の知名度があり、不動産に関する様々なお困りごとを解決してきました。今般、M&Aという次世代に繋ぐための大切なお役目を社長の娘である則子様が果たされたことで、今後も会社は繁栄していくと確信しております。顧問である会計事務所様含め、関係者全員のご尽力により、将来が楽しみな企業提携が実現されました。