[M&A事例]Vol.133 「良い仕事をしたい」――。2社譲り受け生き残りを図る創業75年の老舗樹脂素材製品メーカー
樹脂素材製品メーカーのカツロンは、1年半で2社を譲り受けました。元々成長戦略にはなかったM&Aをなぜ行ったのか、M&Aの目的と現在について伺いました。
譲渡企業情報
譲受企業情報
※M&A実行当時の情報
2007年8月、当社がお手伝いしてM&Aを実行された2社をお迎えし、M&Aを決意された理由や当時の心境などをお聞きしました。
田川様: 名電エンジニアリングを創業して20年以上になります。60歳を超えて、自分の次代に、この会社を誰に託すべきか考え始めました。 私には息子がいますが、東証一部上場企業に勤務していて家庭もあり、順調なサラリーマン人生を送っています。もし会社を継いだ場合、「経営者」という24時間体制の仕事は「サラリーマン」とはライフスタイルが大きく異なるため、息子の妻や孫にも少なからず影響を与えることになります。さらに、将来的に負債を抱えることになれば、連帯保証や担保などの負担を背負わなければなりません。 そこで、家族会議を開いて皆の意見を総合した結果、「息子は会社を継がないほうがよいのではないか」という結論に達しました。これを受けて、私は地元の商工会議所に相談し、日本M&Aセンターを紹介されたのです。
安井様: 当社はあらゆる分野の「ものづくり」に対してお役に立つことを目指し、幅広い販売チャネルの開拓・推進、および業容の拡大に努めております。名電エンジニアリングさんは同じ地元の企業であるため、数度に渡って実施した現地視察には全役員が出席して設備の見学や面談を行うことができました。結果、名電エンジニアリングさんは、優れた設計・製造技術に基づいて競合他社に比べても競争力のある各種制御盤、分電盤を提供していることがわかりました。同社の技術やサービスを内製化し、当社のエンジニアリング部門を強化することで、より多くのお客様のご要望にお応えすることができると感じました。この点に、今回のM&Aのシナジーがあると考えたからです。
田川様: 日本M&Aセンターの担当者から、相手候補として数社リストアップしてもらいましたが、その中でもやはり同じ地元の名門電気機器商社である明治電機さんは、際立って安心感がありました。また、商社でありながらエンジニアリング部門の体制も強化されているということで、名電エンジニアリングとの事業シナジーも期待できるのではないか、と感じました。以上のような理由で、「ぜひ明治電機さんに譲り受けてほしい」という思いを強く持った私は、最初の段階から1社のみの交渉で進めてもらうことにしました。無事成約に至ったことを喜んでおります。
田川様: 現在、設備業界も決して楽観視できない状況にありますが、その中にあって名電エンジニアリングは順調な業績をおさめています。私自身も3年間という期限付きではありますが、これまでと変わらず代表権を持ち、社長業にまい進しております。と同時に、明治電機さんから派遣されている次期経営者候補の方に、現事業の引継ぎを行いながら、一体となって新たなる人材育成にも力を入れています。
安井様: 田川社長をはじめ、従業員の皆様のご協力により名電エンジニアリングさんとの融合が順調にすすんでいます。名電エンジニアリングさんは、受配電設備、各種プラント設備、制御盤等の設計から鈑金、塗装、製造まで一貫して行っていましたが、さらに当社の販売網を使ってより多くのお客様に製品を提供することが可能になります。お互いのメリットを最大化して、これからも共に成長していけるよう、努力する所存です。
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