[M&A事例]Vol.137 心血を注いで開発した製品と事業を存続させるため決断した成長戦略型M&A事例
敏感肌用化粧品のインターネット通信販売を展開するエクラは、3つの課題を解決するために資本提携を決断しました。その決断の背景、現在について伺いました。
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※M&A実行当時の情報
現在、ガソリンスタンド業界は廃業・撤退が加速し、非常に厳しい状況である。1994年に60,421軒あったガソリンスタンドは20年間で約半減し、少子高齢化や燃費向上によりガソリンの需要が今後ますます縮小していくことが予想されている。そんな中、2018年末に広島県内で業界では珍しく石油元売が譲受ではない地元石油販売店同士のM&Aが成立した。その先導役を担ったのは、オーナーでも社長でもなく幹部の総務部長であった。
日本M&Aセンター(以下MA)雨森: 弊社より宮田油業様のご紹介があったときの第一印象はいかがでしたでしょうか。
玉木様: 業界団体の会合などで宮田油業の社長とは面識がありました。私自身M&Aにそれほど積極的でもなかったのですが、顧問税理士の勧めもあり、話を聞くことにしました。最初の私の印象は「業界・地域ともに、近すぎて弱ったな。話が重たいな…。」でした。でも話を聞いているうちに「厳しい時代だからまずはしっかりと検討してみよう」と思うようになりました。まずは全店舗をまわり、立地からスタッフの雰囲気に至るまでこっそりと視察してみました。
MA雨森: 最初の提案から3ヵ月ほどかけてじっくり検討されたとのことですが、社内の反応はいかがでしたか。
玉木様: まずは当社の会長(先代の社長)にこの話をしました。ネガティブな反応が出るのかと予想していましたが、意外にも「地場同士で組んでいくことは大事なことだ。前向きに検討してみよう。」と積極的でした。オーナー経営者の勘とでもいうところでしょうか。私と意見が合っていて安心したことを覚えています。しかし、幹部でもある当社役員陣に話をしたところ、大きな投資になることもあり後ろ向きな意見が多かったので慎重に進めないといけないなと思いました。
MA雨森: 前川様のほうではM&Aによる売却の検討をどのように進めていらっしゃったのでしょうか。
前川様: オーナー社長に後継者がいなかったこともあり、当時の専務に最初に引継ぎの相談をされたようです。創業100年を超える歴史のある企業でしたので、蓄積もあり個人で引き受けることは難しいことから、M&Aという選択肢を選ぶことを決断されました。 しかし自分たちではどう進めてよいのかわからず、業界の最大手である日本M&Aセンターに私から相談してみました。M&Aの話を従業員が相談するのも珍しいことだと思います。 私が宮田油業に入社することができたのは、取引先としてお付き合いのあった頃、オーナー社長に声をかけていただいたおかげでした。その恩返しができればと思い、慎重に真剣に取り組みました。
MA雨森: M&Aを検討するにあたって、希望条件のようなものは出されたのでしょうか。
前川様: 私はオーナーではありませんでしたので「M&Aを通じて会社が良くなる」ことを第一に考えて要望を出しました。従業員のことを考えると、地元の同業は避けて県外の大手同業あるいは異業種で探してもらうことにしました。これまで設備投資もしてこなかったのである程度の体力がないと引き受けてもらえないとも考えていました。
MA雨森: なかなか買い手候補が現れないなか、途中で方針の変更はあったのでしょうか。
前川様: 基本方針は変えませんでした。もし相手が見つからなかった場合は、社内で経営を継続できるように準備もしていましたので、焦る気持ちはありませんでした。もしM&Aが成立したとしても、その後トラブルがあったり、思わぬ悪いことが会社に起きたり、というようなことがあれば、私は責任をとって辞職する覚悟もしていました。そのためか、落ち着いて進めていくことができました。 何度か日本M&Aセンターの担当者に相談を重ねるうちに、地元であってもこの相手なら良いなと思えるところであれば、提案してもらうのもありかな、と考えるようになりました。そのときに印象良く浮かんだ会社が後のお相手となる大成石油さんでした。
MA雨森: 意中の相手と縁をつなぐことができ、まさに前川さんは「紡ぐヒト」となったわけですね。M&A後の状況はいかがでしょうか。
玉木様: マネージャーをはじめとした人材の交流からスタートしています。フルサービスからセルフへの転換の検討なども始めています。セルフであっても人材のスキル向上(当社の場合、ピット作業や板金、車検等知識の習得)は必須のテーマです。今回、何よりよかったと思ったのは、実に楽しそうに仕事している姿を見たときです。宮田油業の従業員はみんな真面目で研究熱心で、タイヤの販売力がとても高いです。当初ネガティブだった当社役員陣も今では一緒になって楽しく前向きに仕事に取り組んでくれています。今回のM&Aに対する決断は間違っていなかったなと思います。 当社は2019年4月で創業70周年を迎えました。燃料だけでは生き残ることは厳しいだろうとの思いから‚脱燃料‘の意味を込めて社名を「株式会社TAISEI」へと変更します。今回のM&Aを通じて一緒に歩む仲間が増えました。グループ全体でサービス面や技術力の向上に取り組み、地域に欠かせない存在となって次の100周年を迎えられるような会社にしたいと思います。
前川様: M&A後に前専務から「いろんな選択肢があっただろうけど、今回一緒になった大成石油さんが一番良い相手だったね」と褒めてもらったのがうれしかったです。また、良い縁が得られたのは、愛社精神の強い宮田油業の社員がイキイキと働ける環境を第一に考えたためだと思います。私も肩の荷が半分降りた気がしますが、これから厳しい時代を乗り切るためにも、幹部社員として引き続き大成石油さんのお役にたてるよう頑張りたいと思います。
M&A成功インタビューは、 日本M&Aセンター広報誌「next vol.13」にも掲載されています。
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