[M&A事例]10年後も成長し続ける会社にするためM&Aを決断

2015年株式譲渡契約調印式にて (左)株式会社VALOR 代表取締役 北折 勝美 様 (右)株式会社AMBITION 代表取締役 清水 剛 様 ※職称は当時のもの

譲渡企業情報

  • 社名:
    株式会社VALOR(神奈川県)
  • 事業内容:
    不動産仲介・管理
  • 売上高:
    約4億円

譲受企業情報

  • 社名:
    株式会社AMBITION【東証マザーズ上場】 (東京都)
  • 事業内容:
    不動産管理
  • 売上高:
    約100億円(連結)

※M&A実行当時の情報

当社がお手伝いをして2015年にM&Aを実行された株式会社VALORの北折勝美前社長に、「経営者のためのM&Aセミナー」にてM&Aを決意された経緯や心境、現在の様子などをお聞きしました。

株式会社VALORのご紹介と、M&Aを検討するに至った背景をお教えください。

北折様: VALORは、神奈川県横浜エリアの賃貸物件の仲介・管理を行う会社です。元々不動産会社に就職したのですが、自分で会社を立ち上げたいと思いVALORを創業しました。

社長として「社員が安心して永く働ける会社」にすることを目標に運営してきましたが、創業10年を超える頃から、自社単体での今後の成長に限界を感じるようになりました。

10年後も会社が成長し続ける、そのためにどうすべきか?

北折様: 不動産業界では人件費と広告費に多くのコストが割かれるのが定説です。資金面ではどうしても大手不動産会社に太刀打ちできないので、当社は営業力の強化に注力して成長してきました。しかしやはりそれには限界がある。安定的に成長し続けない限り、目標としている「社員が安心して永く働ける会社」にならない。

では10年後も会社が成長し続けるためには何が必要か? 「資金力」と「人材」の2つだと思いました。黒字経営でも銀行借入れを増やしていくのでは安定しませんし、優秀な人材の採用・育成にかけるコストと時間がないのも現実です。中小企業の限界を感じましたね。

成長するための選択肢の一つがM&A

北折様: 当時私は45歳で、しばらくは自分で経営していくことが可能な年齢でした。しかし今後の会社の経営について考えれば考えるほど、自社単独では解決し難い課題が多いことが分かりました。この状況を打開せずして私が引退の年を迎え、幹部社員に経営を引き継いだとしても会社は成長していけません。また、会社の幹部社員たちは現場タイプの人間が多く、人の上に立ち経営をしていく人材は不足していました。会社の次世代のことを考えると、これからも成長をし続けるための選択肢は自社だけでは不可能だと思ったんです。

M&Aについてはニュースで聞いたこともありますし、以前興味を持って自分自身で調べたこともありました。そのため、M&Aは会社が成長するための選択肢の一つという認識は持っていたのです。しかし当時は、大企業が対象の話であって中小企業は対象にならないと思っていました。

インターネットで「中小企業 M&A」と検索したところ、日本M&Aセンターさんのホームページに辿り着いたので、一度中小企業のM&Aについて聞いてみようと思いました。

神奈川県横浜市を中心に賃貸物件の管理をするVALOR様と、東京都で展開するAMBITION様とのM&Aは、エリアの総合展開の実現や、営業力・人材採用力の強化につながった

神奈川県横浜市を中心に賃貸物件の管理をするVALOR様と、東京都で展開するAMBITION様とのM&Aは、エリアの総合展開の実現や、営業力・人材採用力の強化につながった

M&A以外の選択肢がある今だからこそ、決断することができる

北折様: 日本M&Aセンターの中川さんと面談して、当社の様な中小企業でもM&Aの可能性があると聞き、驚くと同時に安心しましたね。将来の可能性を探りたかったので、自分がまだ経営できる年齢のうちにM&Aを検討してみようと思い、お相手探しをお願いしました。M&A以外の選択肢がある今だからこそ、様々な検討を重ねた上で決断をできるし、会社をベストな状態・条件で売ることができるからです。自分が体調を崩してからでは遅いですし、業績が悪くなったらM&Aも検討できなくなってしまう―「廃業」しか選択肢が残らなくなってしまう前にトライすべきだと思いました。

こうしてVALOR様のM&Aが始まりました。お相手探しにおいて重要視したポイントは何でしたか?

北折様: 私が最も重要な条件としたのが、スケジュール感です。お相手探しを長く続けるのではなく、期で区切って取り組み、新しい期から新体制でいきたいと考えていました。それを聞いたコンサルタントの中川さんからは、すぐに100社近くの候補先が出てきたので驚きました。その中で、社長が強い熱意をもっていただいていて、両社のエリアシナジー(VALORは神奈川県横浜市で展開/AMBITION様は東京都で展開)が見込めるAMBITION様と面談をすることになりました。

「M&Aを実現させて社員と共に更なる発展を目指す」熱意がゆるがないお相手

AMBITION様をお相手に選んだ決め手は何だったのでしょう?

北折様: マザーズ上場をしているAMBITION様と一緒になれば、取引先の不動産オーナーの方々にも安心してもらえるし、何より社員が今後も安心して永く働ける。AMBITIONの清水社長からは雇用条件・仕事のやり方はそのまま引き継ぐという説明もあったので、大きな動揺もなく新体制に移行できると思いました。清水社長とはM&Aに向けた交渉過程で意見がぶつかることもありましたが、両者とも「このM&Aを実現させて社員と共に更なる発展を目指す」という熱意がゆるがなかったのが大きかったです。

M&Aによって採用力が向上

M&Aから1年、振り返っていかがですか?

北折様: 採用力の向上を感じました。上場企業のグループ会社になったことで、以前より応募してくる人の数が増え、多様性も出てきました。人材採用は会社の未来を創る大きな根幹です。ここが向上したのは大きな効果だと思います。

個人的な感想としては、引き継ぎもあったので、振り返る間もないというのが正直なところです。しかしこれだけは言えるのは、今回のM&Aがなければ今も以前と同じ仕事を続けていて、両親や家族の時間を持てないまま時が過ぎていったでしょう。以前父親が体調を崩した時も、仕事に追われ何もすることができず後悔していました。その分、今時間をかけて両親をケアできるので、M&Aのおかげで両親への恩返しができています。

「経営者のためのM&Aセミナー」体験談講師の様子

「経営者のためのM&Aセミナー」体験談講師の様子

広報誌「M&A」vol.46
M&A vol.46

M&A成功インタビューは、 日本M&Aセンター広報誌「M&A vol.46」にも掲載されています。

広報誌「M&A」バックナンバー

M&A実行年月
2015年6月30日
日本M&Aセンター担当者コメント

中川 健太郎

中川 健太郎
中川 健太郎

“10年後も成長していける会社にしたい”という北折様の言葉の裏には、社員を何より第一に想う気持ちがありました。初回面談時からぶれることなく、“10年後も成長していく会社”を目指して交渉を続ける中では、自分で社長を続けることができる若い年齢だからこその苦悩があり、誰にも相談することのできない孤独があったと思います。M&Aコンサルタントとして、北折様のパートナーとして公平な立場で支えていけるよう、真摯に取り組ませていただきました。今後も様々な思いを抱える社長様のお力になれるよう、邁進してまいります。 最後になりましたが、新生VALOR様の今後益々のご発展と、北折様の第二の人生のご健勝を祈念しております。

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