土木・舗装工事業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版

土木・舗装工事業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、土木・舗装工事業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。
更新:
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土木・舗装工事業界の
M&A案件(売却・事業承継案件)
譲渡・売却を希望する土木・舗装工事業界および隣接業界のM&A案件をご紹介します。非公開のM&A案件のご紹介や具体的な投資金額やエリアを絞って案件を探したい方は「M&A買収ニーズ」よりご登録をお願いします。
土木・舗装工事業界の市況とM&A
土木・舗装工事業界には、地盤改良工事や鉄道工事、道路舗装工事などの分野において活動する企業が含まれています。国土交通省の「建設投資見通し」によれば、土木工事の市場規模は2024年度には25.8兆円に達する見通しです。国全体の建設投資額はGDPの約1割を占めており、土木工事の政府投資と民間投資の比率は7:3とされ、公共工事の重要性が浮き彫りになっています。1990年代後半からは減少傾向にありましたが、2012年を底に東日本大震災や東京2020オリンピックによる大規模開発に支えられ、最近では政府投資も増えており、長期的な拡大に期待が寄せられています。土木工事の受注は約7割が政府向けであり、民間投資の増加も見られます。また、インフラ老朽化に伴う維持・補修・改修が重要な課題となっています。
本業界は重層的な下請構造を持ち、下請け完成工事高が半数以上を占めています。元請け業者から専門的な工事が下請け企業に発注される構造であり、近年では就労環境や品質管理に関する課題が指摘されています。
公共工事においては橋梁や高架構造物工事が多く、民間工事では鉄道工事が最も多い傾向があります。さらに、道路舗装工事では、高速道路や一般国道の舗装を主要業務としており、アスファルト舗装が中心です。2022年度の日本道路建設業協会の受注実績は0.9兆円に達し、官公庁からの発注が4割、民間は6割を占めています。民間事業者が官庁から受注した工事を他の事業者に再委託することもあります。道路舗装業界は公共工事が中心であり、都道府県や国土交通省、NEXCOなどが発注元です。そのため、業界の業績は公共投資の動向に大きく影響されます。公共工事が主体となるため、業界の将来は公共投資の動向次第とも言えるでしょう。
このように、土木工事業界は公共投資の影響を大きく受けるため、今後の公共投資の動向が業績に強く影響します。また、道路工事は年間を通じて行われることが一般的ですが、舗装工事は、工程の最終段階にあたるため、第4四半期に集中する傾向があります。繁忙期の偏重を避けるために、M&Aによって事業の多角化・リスクの分散を目的とするケースもあります。
インフラの老朽化が課題
日本のインフラは高度経済成長期の1960年代に集中的に整備されたものが多く、今後急速に老朽化することが懸念されています。
道路や橋梁、上下水道などのインフラは経済活動の基盤ですが、これらの点検・診断・修繕の重要性とコストが増しています。日本では2012年の笹子トンネル崩落事故を受け、「インフラ長寿命化基本計画」が策定されましたが、インフラの劣化状況は多くがCやDの評価を受けています。
今後数年でさらにインフラの老朽化が加速すると予測され、2030年には道路橋の約55%、トンネルの約36%が経年50年を超える見込みです。インフラ老朽化は経済活動を阻害し、持続可能な成長に影響を与えます。そのため、インフラの適切な維持管理が求められています。
土木工事の需要が高まる一方で、保守を行う技術者が減少し、作業が追い付かない大きな要因となっています。国土交通省が発表する労働力調査年報では、建設技能者の多くが10年後には引退する一方、若年層の入職が進んでおらず、熟練作業員の人員不足が懸念されています。若手入職者の確保や育成、長時間労働の是正や建設技能者の処遇改善などの問題が、建設業界全体で課題となっています。このような状況下で、後継者不足に伴いM&Aを選択されるケースが増加しています。特に地方都市では、下請け先が確保できず成長が見込めないため、M&Aに頼る企業が多くなっています。また、地方では道路や橋梁、トンネルなどのインフラ老朽化が進行しており、維持・修繕の重要性は今後ますます高まるでしょう。

参考:総務省「労働力調査」、国土交通省「建設業及び建設工事事従事者の現状」
土木・舗装工事業界における
M&A活用のメリット
土木・舗装工事業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。
- 譲渡側のメリット
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- 後継者問題を解決できる
- 事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能
- 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
- オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができる
- 個人保証や担保提供から解放されたうえで役員等として継続してかかわることも可能
- 譲受け側のメリット
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- 民間分野進出の足がかりを作ることができる
- 売上規模・シェアの拡大・地域補完が見込める
- 事業多角化・新規事業への参入
- 人材の獲得・技術力の向上
- シナジーの創出
- バリューチェーンの補完・関連事業領域の拡大
- リスク分散ができる
- コストの削減・財務力強化(仕入れコスト、管理部門コスト、物流コストなど)
土木・舗装工事業界で
M&Aを実行する際のポイント
土木・舗装工事業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。
- 過去の受注調整
- 重機は自社かリースか
- 経審の評点と実際の違い(二重帳簿の存在有無)
- 労務問題
- 財務問題
- コンプライアンス
- ガバナンス・管理体制
ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。日本M&Aセンターでは各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。
当社では秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。当社は全国に拠点を展開しております。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

株式会社日本M&Aセンター
業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。
土木・舗装工事業界の
M&Aニュース
土木・舗装工事業界のM&Aニュースを表示します。
土木・舗装工事業界の
M&A仲介実績
日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した土木・舗装工事業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2024年12月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年1月~3月分)は2025年4月30日以降の予定です。
譲渡・売却企業 | 譲受け・買収企業 | |
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2024年12月 | 土木工事(関西) | 建築工事(関西) |
2024年12月 | 電気通信工事(関東) | 電気通信工事(関東) |
2024年12月 | 電気通信工事(北海道・東北) | 電気通信工事(関東) |
2024年12月 | 電気通信工事(関西) | 電気通信工事(関西) |
2024年12月 | プラント関連(九州・沖縄) | プラント関連(関西) |
2024年12月 | 内装工事(関東) | 内装工事(関東) |
2024年12月 | 外装工事(関東) | 内装工事(関東) |
2024年12月 | 内装工事(北海道・東北) | 外装工事(北海道・東北) |
2024年12月 | 内装工事(九州・沖縄) | 建築材料卸売(九州・沖縄) |
2024年12月 | 管工事(関東) | 不動産管理・仲介(関東) |
土木・舗装工事業界の
最新のM&A事例インタビュー
当社の仲介によりM&A・事業承継された土木・舗装工事業界の事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。
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会社を成長させるため譲渡を決断。社長を継続し経営パートナーを得る
譲渡:福島県石川郡 送電工事、通信工事、土木工事ほか
譲受け:神奈川県相模原市 電気工事、電気通信工事ほか東北鈴木の2代目社長は、事業拡大を目指すものの方向性に悩んでいました。解決する手段の選択肢としてM&Aを考え、2024年3月に県外の会社に譲渡を行いました。
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地元優良企業の経営危機。初M&Aで譲受けを決めた経営者の決断
譲渡:北海道三笠市 海洋土木関連事業
譲受け:北海道札幌市 舗装および一般土木工事ほか北海道全域で道路の舗装工事を行う道路建設は、当初掲げていた条件とは異なる企業を譲り受けます。M&Aから1年たった今、決断の背景と現在の状況を伺いました。
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廃業を決めた業歴75年の塗装店が、存続と成長を同時に手にした異業種M&A
譲渡:神奈川県大和市 塗装工事
譲受け: 神奈川県横浜市 船舶の製造・修理、電気工事創業以来75年にわたり住宅の塗装を手掛けてきた青竜社塗装店は、営業力の課題に直面していました。M&Aで廃業危機を回避した経緯について、話を伺いました。
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病気の進行で事業承継の課題を直視。従業員と共に進めた異例のM&A
譲渡:愛知県名古屋市 測量事業、土木施工管理技術者派遣事業
譲受け:測量と施工監理技術者の派遣業を営むクワイスは、創業者の健康上の理由で、事業承継の課題に直面。社長と共にM&Aを進行した従業員のお二人に、話を伺いました。
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5社以上を譲り受けて周辺事業の内製化を実現。機動力を上げ売上を拡大
譲渡:
譲受け:愛知県東海市 土木工事、不動産売買、介護・保育、飲食土木工事を中心に不動産や飲食など多角事業を行うナカミライズホールディングスは、土地の仕入れや戸建販売に強みを持つ会社を譲受けました。同社のM&A戦略について伺いました。
土木・舗装工事業界の
セミナー情報
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