食品業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2024年最新版

食品業界のM&A

食品業界の企業には、加工食品、清涼飲料水やアルコール類、食品原料の製造のほか、スーパーやコンビニのような卸・小売業があります。また、ここではレストランや居酒屋などの飲食店も食品業界に含めて扱っております。
食品・外食関連企業では、以前から人材不足や労務問題など構造的な問題を多く抱えていました。新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けた2020年以降は、さらに経営戦略の重要な手段としてM&Aを選択する企業が増えています。本記事では、食品業界のM&Aニュースや事例、最新のセミナー情報などをご紹介いたします。

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M&A案件(売却・事業承継案件)

食品業界に関するM&A案件をご紹介します。非公開のM&A案件のご紹介や買収のご相談は「M&A買収ニーズ」、事業の売却・事業承継のご相談は「M&Aの相談フォーム」へお問い合わせください。

  • No.15003

    飲食店
    地域
    東海地方
    売上高
    2億円未満

    ・独自の世界観を持った店舗を構築 ・メイドカフェ・コンセプトカフェの両フォーマットを運営

  • No.14988

    食品製造
    地域
    中国地方
    売上高
    非公開

    ・一気通貫の酒造り ・地元に愛される地酒ブランドを保有。

  • No.15056

    食品卸
    地域
    東南アジア
    売上高
    非公開

    ・シーフードがメイン ・主要顧客は飲食店

  • No.15016

    食品製造
    地域
    関東地方
    売上高
    5億円~10億円

    ・長年愛飲されるサプリメントで高収益事業 ・数十万人規模の会員情報を保有

  • No.14984

    食品製造
    地域
    非公開
    売上高
    非公開

    ・大手企業との直取引あり ・大手企業の品質水準に対応している ・業歴長い

  • No.14872

    食品卸
    地域
    関東地方
    売上高
    非公開

    安定した仕入先と販売先により業績堅調

  • No.14982

    食品小売・コンビニ
    地域
    関東地方
    売上高
    5億円~10億円

    都内好立地にスーパー1店舗を運営

  • No.14962

    飲食店
    地域
    北海道
    売上高
    2億円未満

    ・郊外、好立地に店舗展開 ・国産黒毛和牛を提供

  • No.14955

    食品卸
    地域
    東南アジア
    売上高
    非公開

    ・海産物を用いた食品の製造業 ・強固な関係性を築いている仕入先を複数擁している ・9割以上の製品を輸出している

  • No.14922

    飲食店
    地域
    甲信越・北陸地方
    売上高
    非公開

    ・飲食店を複数店舗展開している ・1業態ではなく、複数業態を運営するノウハウがある

  • No.14736

    食品小売・コンビニ
    地域
    関西地方
    売上高
    非公開

    特殊な製法で製造している。 特許を取得している。 取引先は法人が中心。

  • No.14935

    食品製造
    地域
    東南アジア
    売上高
    非公開

    ・インドネシア国内販売分だけでなく、輸出も手掛けている ・日系企業との取引がある

希望に沿う案件をご紹介

食品業界について

食品業界には様々な業態が含まれ、主に、食品製造業、関連流通業、外食産業の3つがあります。農林水産省が公表する2021年の「農業・食料関連産業の国内生産額」によれば、食品製造業の国内生産額は36.5兆円、関連流通業は35.4兆円、外食産業は19.1兆円となりました。上記3業態の国内生産額は91兆円に達し、これは、全経済活動(内閣府「国民経済計算」における経済活動別の産出額の合計)の約8.8%に相当します。また、2022年の食品業界の就業者数は808 万人で、就業者総数の約12%にあたる雇用の場を提供しています。国内生産額や就業者の割合が高いことから、食品産業は国民経済的にみて非常に重要な位置づけにあるといえます。

まず、食品製造業においては、味の素やサントリー、明治など、知名度の高い食品メーカーがある一方、中⼩企業及び零細企業が約9割を占めています。また、製造品出荷額においても、中⼩・零細企業の割合が過半数を占めており、中小企業の比率が高い業界といえます。
食品製造業の中小企業では後継者不在などの課題を抱え、M&Aが増加しています。とくに、老舗の酒造、菓子製造、味噌醤油、冷凍食品メーカーなどで後継者不在のケースが目立ちます。また、M&Aの相手先としては投資ファンドが多く見られます。当社、日本M&Aセンターも日本政策投資銀行とともに「日本投資ファンド」を立ち上げ、地方中小企業への支援を行っています。また、食品製造業と飲食業など、バリューチェーン上の別業種同士のM&A事例も見受けられます。

関連流通業では、飲食料品の卸売や小売業界が含まれます。卸売業では国内市場の縮小や流通コストの上昇といった課題があり、近隣業同士のM&Aが増えています。小売業では、コンビニ業界での業界再編が進んでおり、ファミリーマートとサークルK・サンクスなどのブランド統合が進行し、業界順位が入れ替わりました。スーパーマーケットでは、ドン・キホーテがユニーを子会社化するなど、大手のM&Aが目立ちます。一方で、中小企業では、地域ごとの強い地盤や専門分野での選択と集中が進んでいます。

外食産業では、ゼンショー・ホールディングス(以下、ゼンショーHD)やコロワイドが活発にM&Aを行っています。ゼンショーHDは2000年から多くのM&Aを手掛け、2018年にはアメリカの持ち帰り寿司チェーンであるAFCを買収するなど、大型の海外M&Aも行っています。コロワイドも同様にM&Aを続け、2020年には大戸屋に対するTOBを成功させました。
2020年以降、中小企業の外食産業においては大きな変化が起きています。新型コロナウイルスの影響により、外食業界は大きな打撃を受け、売上や利益が低下し、廃業する企業も増えました。その結果、業績悪化により不安が高まり、資金繰りが困難になった中小企業が、大手企業の傘下に入り、経営を安定させる道を選ぶケースが増えています。

図)農業・食料関連産業の国内生産額の構成
農業・食料関連産業の国内生産額の構成

農林水産省:2023年4月公表資料「令和3年農業・食料関連産業の経済計算(概算)」

食品業界の中小企業が直面する課題

食品業界の中小企業は、さまざまな課題に直面しています。その中でよくお聞きするものに、以下のような事項があげられます。

  1. 後継者不足と老舗の存続: 老舗の中小企業では後継者不在のケースが多く、事業の継続が困難になっています。酒造、菓子製造、味噌醤油、冷凍食品メーカーなどでこの課題が顕著です。
  2. 資金繰りと経営安定: 中小企業は大手企業と比較して資金調達に制約があります。銀行からの融資の審査基準が厳しくなることや、資金調達の際に担保や保証人を要求されることがあります。これにより、事業拡大や新たなプロジェクトの実施に制約が生じる場合があります。特に新型コロナウイルスの影響で売上や利益が低下し、資金繰りが困難になるケースが増えました。
  3. 競争力の向上: 大手企業に比べて資源やブランド力が限られているため、中小企業は競争力を高める必要があります。品質管理の徹底や効率的な生産体制の構築など、品質と効率性の両面での取り組みが求められます。
  4. 人材確保と育成: 食品業界は人手不足が深刻であり、特に中小企業は人材の確保と育成に課題を抱えています。採用にかけられるリソースは限られており、知名度の有無にも影響を受けます。適切なスキルや経験を持つ人材の獲得が困難であり、また競合他社に比べて報酬や福利厚生の面で競争力を持つことが難しい場合があります。
  5. 原材料価格の変動: 食品業界では原材料価格の変動が大きな影響を与えます。特に農産物や畜産物の価格は気候変動や需給バランスによって大きく変動することがあります。中小企業の経営はこれらの価格変動に敏感であり、原材料調達や価格設定の難しさに直面しています。

食品業界における中小企業の成長戦略

食品業界における中小規模の事業者の成長戦略には、競争力強化とイノベーションの追求が不可欠です。競争が激しい食品業界で成功するためには、地域や専門分野での強みを活かし、独自性のある商品やサービスを提供することが必要です。また、市場の変化や消費者のニーズに対応するために、従来の枠にとらわれず、オンライン販売やデジタルマーケティングの活用、持続可能性や健康志向に配慮した商品開発など、新たなビジネスモデルの探求が必要です。市場の変化やトレンドに敏感であることで、消費者のニーズや嗜好の変化に合わせた商品開発やサービス提供につながります。ビジネススキルや経営戦略を磨くことで、競争力を高めることができます。
さらに、効率的な経営と生産性の向上も重要です。生産プロセスの改善や自動化、コスト削減の取り組みを行い、効率的な経営体制を構築しましょう。また、外部との連携や協業を通じて、新たなビジネスチャンスを創出することも重要です。サプライヤーや流通業者、研究機関、スタートアップ企業などとのパートナーシップを築き、共同開発やマーケティング活動を行うことで相乗効果が期待できます。

食品業界における中小企業の成長戦略は、市場の変化に柔軟に対応し、競争力を強化することで持続的な成長を実現することが求められます。これらの取り組みを継続的に行いながら、新たなビジネスチャンスを見つけ出し、イノベーションを追求していくことが成功の鍵となります。

M&Aが中小企業の成長に与える影響

食品業界でM&Aは中小企業の成長戦略の一つとして注目されています。M&Aが中小企業に与える影響力は大きく、例えば、下記のようなメリットがあります。

  1. 規模の拡大と競争力の向上: M&Aによって規模を拡大することで、中小企業は大手企業との競争力を向上させることができます。また、経済の規模や資源を活用することで、効率的な生産体制の構築や新たなビジネスモデルの実現が可能となります。
  2. 資金調達と経営の安定化: M&Aによって資金を調達し、経営の安定化を図ることができます。特に資金繰りが困難になった中小企業にとっては、大手企業の傘下に入ることで経営のリスクを軽減することができます。
  3. 新たな事業領域への進出: M&Aを通じて新たな事業領域への進出が可能となります。例えば、地域や市場の拡大、持続可能な食品の開発など、成長が見込める分野への進出が期待できます。

中小企業の成長戦略として、M&Aは重要な手段の一つですが、成功するためには適切なパートナー選定や統合計画の策定、文化の調和など、様々な課題に対処する必要があります。将来的には、市場の変化や技術革新などに対応しながら、持続的な成長を実現するための戦略的なM&Aの活用が求められます。

食品業界のM&Aが増えている理由

食品業界において、多くの企業が成長戦略の一環としてM&Aを活用しています。中小企業が成長するためには、市場拡大や新規事業の展開などに資金やリソースが必要です。大手企業やファンドは資金力やネットワークを持っており、企業の成長を支援できるため、M&Aを通じて企業価値の向上や競争力の強化を図ることができます。さらに、新たな市場への進出や事業領域の多角化を目指す企業にとっても、大手やファンドとの提携や買収は有益です。譲受け企業は、グローバルな市場への参入や技術・リソースの活用を支援する役割を果たします。競争激化や市場環境の変化に対応するため、企業は合併や買収を通じて競争力を強化し、市場シェアを拡大することを目指しています。ファンドは投資家の視点から企業を評価し、効率的な経営体制の構築や事業再生を支援することで、業界全体の成長を促進しています。もちろん、老舗企業の後継者不足を解決するためにもM&Aは有効な手段です。
これらの要因が組み合わさり、食品業界におけるM&Aが増えているのです。譲渡企業は成長戦略の実現や継承問題の解決、新たな市場への進出、技術やリソースの活用を目的として大手企業やファンドとの提携を選択しています。

外食産業の回復と今後の課題:人材確保と労働環境の改善

外食産業の回復と今後の課題:人材確保と労働環境の改善

2023年5月8日、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが2類相当から5類感染症に移行し、経済活動も徐々にコロナ禍以前の水準に戻りつつあります。
飲食店業界は、コロナ禍の3年間で大きな影響を受けた業界のひとつです。外食代の支出が徐々に回復する一方、飲食店では人手不足が大きな課題となっています。厚生労働省の「一般職業紹介状況」によれば、2023年4月時点で外食産業の調理人の新規有効求人倍率は3.5倍、ホールスタッフは4.6倍となっています。特にパートタイム労働者を対象とすると、調理人は3.3倍、ホールスタッフは6.1倍と、深刻な人手不足が浮き彫りとなっています。飲食店業界は食材の高騰という問題に加え、人材確保の試練にも直面しているのです。

この人手不足の問題を解決するためには、魅力的な労働環境の提供と効率的な業務プロセスの確立が必要です。従業員が働きやすく成長できる環境を整えること。また、業界全体で人材確保に向けた取り組みを推進する必要があります。専門教育の充実や人材育成プログラムの提供に注力し、若者や転職希望者に対して飲食業界の魅力と将来性を発信し、業界への関心を高めることが求められます。
単体では解決が難しい課題も多い一方で、M&Aを活用して、しっかり改善し、営業利益をあげている企業もあります。2020年、2021年はコロナの影響で外食業界のM&Aは減少しましたが、2022年には約20%増加し、2023年上半期でも前年同期と同数のM&Aが発生しています。大手外食チェーンやPEファンドによるM&Aも復調傾向にあります。これらの動きは、外食業界が食品業界のM&Aを牽引し、今後も事業基盤の強化や商圏エリアの拡大を目指して積極的なM&Aを行っていくことを示唆しています。

当社は、地域・業界・企業規模にとらわれない圧倒的なマッチング力によって、ベストなパートナーをご提案いたします。食品業界のM&Aや事業承継に関して、ご不明点やご要望などがありましたら、お気軽にご相談ください。

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食品業界のM&A動向を動画で解説

当社のM&Aコンサルタントが、食品業界の特徴とM&Aの動向を分かりやすく解説します。

株式会社日本M&Aセンター

業界別M&Aレポート編集部

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業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。

食品業界における
最新のM&A事例

近年に実施されたM&Aから食品業界の事例をご紹介します。食品メーカーから卸・小売りまで、M&Aが積極的に行われています。

総合スーパー(GMS)×総合ディスカウントストア
ドンキホーテHD、総合スーパーのユニーを完全子会社化

譲渡企業
株式会社ユニー
※ユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社の子会社
譲受け企業
株式会社ドンキホーテホールディングス

M&Aの概要

スキーム:株式譲渡/完全子会社 実行時期:2019年1月

株式会社ユニーは、「アピタ」「ピアゴ」などを運営する中部を地盤とする総合スーパー(GMS)です。2016年9月に、前身であるユニーグループ・ホールディングス株式会社と株式会社ファミリーマートが経営統合し、ユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社となりました。
買い手の株式会社ドンキホーテホールディングスは、総合ディスカウントストアなどを展開する企業です。2017年8月、ユニー・ファミリーマートHDと業務資本提携を締結し、11月には同社の子会社であるユニーの株式の40%を取得していました。

2018年10月11日、ドンキホーテHDが、東海に地盤を持つ総合スーパー(GMS)のユニーを買収することを発表。すでに保有していた40%の株式に加え、2019年1月4日付で残る60%を買い入れ、完全子会社化しました。
ユニー・ファミリーマートHDは、ユニーの全保有株式を旧ドンキホーテHDに譲渡することに伴い、株式公開買い付け(TOB)により、ドンキホーテHD株式3210万8700株(所有割合20.17%)を取得すると発表していました。しかし、買い付け発表後にドンキホーテHDの株価が大きく上昇し、同年11月7日~12月19日に実施していたドンキホーテHDのTOBは不調に終わり、持分法適用会社化を見送りました。
その後、2019年2月にドンキホーテHDは、社名を「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」に変更。ユニー・ファミリーマートHDも、100%子会社のファミリーマートを9月1日付で吸収合併し、合併後の商号を「ファミリーマート」と改めました。

M&A後の展開

2018年にユニーが展開する「アピタ」と「ピアゴ」の売り上げが不振だった店舗を業態転換し、「MEGAドン・キホーテUNY」としてリニューアルオープンしました。このダブルネームの業態転換は、食品以外の品ぞろえを大幅に拡充し、低価格を強調したドンキ流のポップや売り場ディスプレイを取り入れることで、若い世代や男性客など新たな顧客層を獲得し、売り上げは1.9倍に拡大しました。
その後、2023年7月までに63店舗がリニューアルオープンしました。これはユニー株式会社のグループ化以降の取り組みの一環であり、「MEGAドン・キホーテUNY」というダブルネーム店舗の業態転換を通じて、ドン・キホーテとユニーの強みを有機的に結合した店舗作りが進められました。これにより、従来の顧客に加えて新たなファミリーや若年層、男性客も惹きつけられ、店舗はより多くのお客様から支持される存在となりました。 ドン・キホーテとユニーの協力によるリニューアルオープンの成功は、食品業界におけるダイナミックな変化の一例として注目されています。この取り組みは、競争激化するGMS・SM業界において、新たな戦略や顧客ターゲティングの手法を模索する企業にとっての参考となるでしょう。今後もドン・キホーテとユニーの連携による業態転換が進められ、食品業界のさらなる成長と発展が期待されます。

食品製造業×食品製造業
山崎製パン、神戸屋の包装パン事業とデリカ食品事業を譲受け

譲渡企業
株式会社神戸屋(大阪市大阪府)
譲受け企業
山崎製パン株式会社(東京都千代田区)<2212>

M&Aの概要

スキーム:会社分割/株式譲渡/事業譲渡 実行時期:2023年3月

神戸屋は1918年に大阪で創業した製パン業界の老舗企業。パン・洋菓子・冷凍生地・デリカ食品の製造販売、並びにベーカリーレストランなど各種業態直営店舗の企画開発・運営をおこなっていました。売上高は約380億円(2022年12月期)の中堅メーカーで、袋パン事業が売り上げの9割を占めていました。
買い手の山崎製パンは、国内シェア4割を持つ日本最大手の製パンメーカー。過去に、東ハト、不二家などを買収し、製菓事業においても業績を伸ばしています。和・洋菓子や製菓・米菓などを合わせた連結売上高が1兆円を超える大企業です。

2022年8月、山崎製パンが、包装パン業界4位の神戸屋の袋パン事業、および同社子会社が営むデリカ食品製造事業を譲り受けることが発表されました。
神戸屋は主に包装パン事業を展開しており、さらにフレッシュベーカリー・レストラン事業や冷凍パン事業も手掛けています。しかし、人口減少や少子高齢化の進展に伴い、神戸屋は事業ポートフォリオの見直しを行い、将来的にはフレッシュベーカリー・レストラン事業と冷凍パン事業に注力することを決定しました。そのため、包装パン事業と子会社が手掛けるデリカ食品事業の売却を選択。事業の譲渡先として、山崎製パンを選びました。

本件M&Aの手続きとしては、まず、神戸屋が新たに完全子会社「株式会社YKベーキングカンパニー」を設立します。そして、包装パン事業等の対象事業に関連する資産を会社分割により承継させたうえで、同社の発行株式の全部を山崎製パンが取得します。 2023年3月31日をもって株式譲渡を完了し、対象事業の譲渡を完了したことが、両社から発表されました。

M&A後の展開

神戸屋の包装パン事業は、大手コンビニエンスストア向けの商品開発やプライベートブランドの製造などで高い評価を得ています。山崎製パンは、従来の商品ブランドを維持しながら、包装パン製品の製造と販売を継続していく予定です。ただし、当面は神戸屋ブランドを使用するものの、譲渡後2年間が期限となっているため、段階的にYKベーキングカンパニーブランドに切り替えていくことが予想されます。
関東を中心に全国展開する山崎製パンと関西に地盤を持つYKベーキングカンパニーのグループ化によって、西日本の生産体制効率化と競争力強化につながり、市場シェアの拡大や新たなビジネス機会の創出が期待されます。

昨今のグルメブームもあって、消費者がパンに求める基準が高くなっています。神戸屋は、事業ポートフォリオ整理によって、大量生産ではなく、より小規模な顧客層に向けてパンを提供していく道を選択しました。この事業の譲渡は、両社の今後の成長とともに業界内外から注目されています。
パン業界全体における戦略的な動きとしても注目され、今後の展開が業界に与える影響が期待されます。

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最新のM&A事例インタビュー

食品業界は食品製造、卸・小売業、飲食店など多岐にわたります。人材不足や労務など構造的な問題への対処だけでなく、昨今は経営戦略としてM&Aが行われています。当社がM&Aをお手伝いさせていただいた事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。

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M&A仲介実績

日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した食品業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2024年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2024年10月~12月分)は2025年1月30日以降の予定です。

譲渡・売却企業 譲受け・買収企業
2024年9月 飲食店(関東) 自社ソフトウェア開発(東海・北陸)
2024年9月 食品製造(北海道・東北) 管工事(北海道・東北)
2024年9月 教育(関西) 食品製造・給食(関西)
2024年9月 食品小売(関東) 食品小売(関東)
2024年9月 食品小売(関西) 食品小売(関西)
2024年9月 包装資材卸売(東海・北陸) 食品小売(東海・北陸)
2024年8月 EC販売(関東) 食品卸売(関東)
2024年7月 食品製造(関東) 食品卸売(関東)
2024年7月 食品製造(北海道・東北) エンターテインメント(関西)
2024年7月 食品卸売(関東) 食品製造(関西)

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