食品卸業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2024年最新版

食品卸業界のM&A

日本の食を支える食品卸売業ですが、近年は様々な逆風が業界を襲い、その在り方を再考する必要が出てきています。競争率を高めるため、M&Aによって取り扱い製品の品揃えを広げる、地域に密着した取引を強化するなどの戦略が見られます。こちらでは、食品卸業界の課題とM&A動向に焦点を当て、食品卸業界のM&Aについて具体的な事例を交えながら紹介します。

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⽬次

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M&A案件(売却・事業承継案件)

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  • No.15210 NEW

    食品卸
    地域
    非公開
    売上高
    2億円未満

    地域に密着した業歴 全国にリピーターは多く存在

  • No.15203

    食品卸
    地域
    東南アジア
    売上高
    非公開

    ・オリジナルブランド品の製造のほかOEMにも対応 ・国内流通と輸出も対応 ・ハラール認証取得済

  • No.15114

    食品卸
    地域
    関東地方
    売上高
    10億円~20億円

    ホテル業界に強い食肉加工卸

  • No.15056

    食品卸
    地域
    東南アジア
    売上高
    非公開

    ・シーフードがメイン ・主要顧客は飲食店

  • No.14872

    食品卸
    地域
    関東地方
    売上高
    非公開

    安定した仕入先と販売先により業績堅調

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食品卸業界の
M&A買収ニーズ

買収・譲受け企業からの要望の一部をご紹介します。具体的な買い手候補企業のご提案は、会社売却先シミュレーションから、無料でお試しいただけます。

現在Web上で公開可能な譲受け希望案件はございません。
非公開の買いニーズは多数ございますのでお問い合わせください。

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食品卸業界・小売(スーパー)業界のM&A案件(譲受け・買い案件)一覧

食品卸業界の概要

食品卸業界には、水産物、食肉、農作物等の食品、飲料の中間流通または貿易業務を担う企業が含まれます。食品卸業は、食品の製造元や生産者などの食品メーカーから商品を仕入れ、販売し、届け先まで配送するサービスを行います。食品卸業には、食品メーカーと小売業の仲介をし、在庫管理・配送・商品仕入などの面を効率化し、食品流通を安定的に供給する役割があります。
食品卸業界のビジネスモデルは、食料・飲料メーカーからの調達、小売店・外食店への販売がメインです。飲食料品製造業の事業所数は約3万社、小売業は約100万社あるといわれています。小売業者が卸を通さずにメーカーから直に物流を行おうとすると、取引先も商品点数も多いため、配送や入荷ごとに膨大な業務が発生し、双方に負担がかかってしまします。そのため、卸が代行し、一括で集約することで効率的な流通を実現します。また、扱っている商品が食品である特性上、賞味期限管理・温度管理といった品質管理も担っています。なお、中小企業や個人経営店舗など多岐にわたるため、本業界は、一次卸のほか、地場企業の二次卸(中間卸)、三次卸(最終卸)といった多層構造が見受けられます。

食品卸業界で
M&Aを実行する際のポイント

食品卸業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントは以下の通りです。

  • M&Aによって得られるシナジー効果
  • システムの統一可否等
  • 既存の取引先との継続可能性、特約の有無
  • 不動産等の各種契約の確認

食品卸業界における
M&A活用のメリット

食品卸業界におけるM&A活用のメリットは、下記のような点があります。

譲渡側のメリット
  • グループを形成することにより規模の経済を働かせることができる
  • 交渉力の向上
  • 物流のコストダウン
  • 事業承継、雇用の継続、個人保証からの解除
譲受け側のメリット
  • 新たな流通経路を獲得することによるクロスセル
  • 垂直統合:製造から流通までを一括化、バリューチェーン
  • 水平統合:商品・サービスの拡充、商圏の開拓

食品卸業界の
市場規模

経済産業省のレポートによれば、2021年調査のフード・ビジネス全体の名目事業規模は約198兆円でした。これらの内訳は、「飲食店,飲食サービス業」が約24兆円、「食料品工業」が約39兆円、卸売業と小売業を含む「食料品流通業」が約135兆円となっています。このうち、食料品関連卸売業は88.2兆円と最も大きく、フード・ビジネス全体の44.4%を占めます。一方で、食品卸売業界は、損益構造をみると売上原価率が高く、販管費における物流コストの占める割合が高い構造となっています。また、競争の激化や物流コストの上昇等を背景に、食品卸業の経常利益率は1%を切る水準で推移しており、収益性の改善も業界全体の課題として存在しています。

食品卸業界のイメージ

コロナ禍からの回復

2022年の日本の名目GDPは 556.5兆円で、前年比の成長率1.3%とわずかに増加となりました。うち、家計消費支出は対前年比 5.1%とやや増加。財貨・サービスの輸出では 19.8%で大幅な増加となりました。日本経済は、2020年の新型コロナウイルス感染症のパンデミック(以下、コロナ禍)による経済停滞から徐々に回復傾向にあります。食品産業においては、感染症対策の規制緩和や各種政策の効果もあり、景気が持ち直していくことが期待されています。ただし、コロナ禍以外にも、エネルギー価格や物価高騰など生産コストの価格転嫁、食料品価格上昇による消費の低迷など、さまざまな課題に直面しています。
2022 年の農畜産物・水産物卸売業及び食料・飲料卸売業の販売額は、それぞれ対前年比 8.4%、7.0%とかなりの程度増加し、コロナ禍以前の2019年の水準に回復しつつあります。同年の飲食料品小売業販売額は、対前年比 0.4%と前年並みとなり、2019年と比べてわずかに増加。このうち、巣ごもり需要で好調だったスーパーは、2019年と比べて大幅な増加となりましたが、百貨店やコンビニエンスストアは前年からやや増加したものの、コロナ禍以前の水準までには回復しきっていない状態です。

図:食品卸売業・食品小売業の販売動向
図:食品卸売業・食品小売業の販売動向

出典:経済産業省「商業動態統計」

食品卸業界の
環境変化

食品卸業に直接影響を与える小売業界では、競争が激化する中で、各社は各々の取扱商品を拡大させる等、異業態の事業領域への参入を進めています。中でも、購買頻度の高い食品の販売に注力し、集客力向上を図る動きが強まり、食品スーパー(SM)・GSM以外にも、ドラッグストア、ディスカウントストアなど各業態で、食品の取扱いを強化しています。とくに、大手ドラッグストアを中心に、従来の地盤を越えて店舗網を拡大する動きが活発になっています。

図:近年における食品卸市場の推移
図:近年における食品卸市場の推移

※データ出典:経済産業省「商業動態統計」より株式会社日本M&Aセンター作成

食品卸業界は、外部環境の変化に直面しています。小売業を中心とした業界再編の影響や小売業のPB品強化による収益の低迷、人口減少に伴う売上の減少などがその主な要因です。これにより、上場企業であっても収益性に苦しむ現実があります。一方で、食品卸業界全体の市場規模は、インバウンド需要やコロナ禍による内需の増加などにより2020年には回復傾向を見せましたが、収益性の向上が依然として難しい状況です。
大手食品卸企業は、この厳しい状況に立ち向かうために「フルファンクション化」を推進しています。商品のフルライン化やサプライチェーンの一元化などがその具体的な取り組みです。特に商品のフルライン化は、中小企業においては難しい課題ですが、大手食品卸がその強みとなっています。彼らは多品種化や総合化を進める一方で、主力商品以外の品揃えにおいても他社を上回る存在感を示しています。
食品卸売業の課題を解決するためには、商品調達力の強化が不可欠です。この課題を解決するためには、全国各地の生産者・メーカーとの強固なリレーションを築くことが必要ですが、その過程には多大な時間と労力がかかります。この課題を克服する手段として、M&A戦略が注目されています。特に中小企業は、大手や地場の中堅企業の傘下に入ることによって、これらの課題を解決し、業績向上を実現する道を選んでいます。

今後の食品卸業界においては、変革が求められています。厳しい競争環境を乗り越え、収益性を向上させるためには、フルファンクション化やM&A戦略の活用が欠かせないでしょう。大手食品卸企業がその先頭に立ち、新たなビジネスモデルの創造を進めることによって、業界全体の未来が変わることが期待されます。

食品卸業界の
市場環境と課題

食品卸業界の市場規模は、食品メーカーの値上げや、中食(惣菜)や冷凍食品などの需要増加により拡大しています。ただし、将来的には人口減少の影響から、国内の需要は横這いか縮小すると予想されています。
この業界では、大手食品卸の業績は食品価格の上昇や業界再編による取引増加によって伸びていますが、競争が激化し物流コストが上昇しているため、経常利益率は1%未満と低い水準が続いています。食品という特性(商品単価、温度管理の必要性、配送頻度の高さ等)に起因して、他の卸売業と比較しても物流コストが高い傾向にあります。また、人手不足や原油価格の高騰も輸送費や保管費を押し上げており、コスト削減など収益改善の取り組みが進行中です。
さらに、異業種の参入によって競争環境が激化しています。特に小売業界では、商品取り扱いの拡大や新たな事業領域への進出が行われており、食品の取り扱いが増加しています。ドラッグストアは特に注目すべき例で、医薬品の販売だけでなく食品の取り扱いも増え、競争力が高まっています。この異業種の参入が、地場卸と全国卸の競争を激化させている要因となっています。

食品卸業界の
今後とM&A戦略

異業種の食品販売の拡大や大手ドラッグストアの店舗拡大が、地域を超えた競争を激化させ、小売業の資本連携や再編が影響を及ぼしています。大手から中小企業まで、業界全体で対策が必要です。食品卸の大手企業は、M&Aを通じて、関連事業のフルライン化、取り扱い食品の品揃えを広げる戦略を採用し、中小企業は地域に密着した取引を強化していく方向性が期待されます。
コスト削減については、物流拠点の見直しやIoT技術を駆使した効率的な物流・在庫管理が求められます。また、国内の需要縮小に対応して、海外での新たな市場開拓やコールドチェーンを活かした物流拠点の整備が進展するでしょう。また、共同配送や共同仕入れを進めることで、トラック運転手の労働時間規制を強化する「2024年問題」の対策につなげる狙いがあります。

食品卸業界のM&Aは日本M&Aセンターの食品業界専門グループへ

日本M&Aセンターは、国内M&Aの黎明期である1991年に創業した、成約件数世界No.1のM&A仲介会社です。当社の食品業界専門グループは、外食・食品製造・食品卸・食品小売の4つの業界に特化したM&Aのプロフェッショナルで構成された組織です。業界特有の商習慣や論点を抑えた支援を行うことで、効果的なM&Aが実現できるようサポートさせていただきます。ご検討段階でもまずはお気軽にご相談ください。

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株式会社日本M&Aセンター

業界別M&Aレポート編集部

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業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。

食品卸業界のM&A動向を動画で解説

当社のM&Aコンサルタントが、食品卸業界の特徴とM&Aの動向を分かりやすく解説します。

食品卸業界の
最新M&A事例を解説

近年に実施されたM&Aから食品卸売業界の事例をご紹介します。食品卸売業では、食品調達力を強化する目的でM&Aが注目されており、とくに、同業間のM&Aや食品製造業とのM&Aが増加傾向にあります。

食品卸×食品卸
総合食品卸マルイチ産商、グループ内組織再編へ

譲渡企業
株式会社丸水長野県水(長野県長野市)
譲受企業
株式会社マルイチ産商(長野県長野市)※名証メイン8228

実行時期:2024年度実施予定(2023年5月発表) スキーム:吸収合併/組織再編

2023年5月26日、長野地方卸売市場の総合食品卸、マルイチ産商は、完全子会社の丸水長野県水を、2024年度をめどに吸収合併することを発表しました。あわせて、丸水長野県水の子会社を、マルイチ産商の子会社が、それぞれ吸収合併する方針であることも決定しました。グループ内に同様の業務を担う子会社が複数ある状況を解消し、組織を強化するとしています。合併契約締結日や合併予定日などは発表現時点では未定です。

株式会社丸水長野県水は、冷凍食品の販売や食料品製造に強みを持つ、食の総合商社です。水産物、青果物、冷凍食品、畜産品などの販売や、米穀、酒類、日用雑貨品の販売、貨物利用運送事業などを手がけています。
株式会社マルイチ産商は、長野が地盤の食品卸の大手企業です。水産物や加工品、冷凍食品、畜産物などの卸売りから、小売店舗支援、物流・冷蔵倉庫の運営、OA機器や通信機器の販売、保険代理店業など、多岐にわたる事業を展開しています。2017年4月、同業の丸水長野県水を完全子会社化しました。

丸水長野県水を親会社のマルイチ産商が吸収合併するとともに、丸水長野県水の子会社で業務用卸を担うマルゼンフーズ、物流を担当する丸水運送センターを、マルイチ産商傘下のナガレイと、マルイチ・ロジスティクス・サービスが、それぞれ吸収合併する予定です。
今回の組織再編には、グループの経営資源を集約し、合理化と効率化を図ることで長野県内における経営基盤の強化を図る目的があります。

吸収合併存続会社 吸収合併消滅会社
親会社 マルイチ産商 丸水長野県水
業務用卸子会社 ナガレイ マルゼンフーズ
物流子会社 マルイチ・ロジスティクス・サービス 丸水運送センター

物流(冷蔵)×食品卸(水産)
中央魚類、ホウスイの完全子会社化のためのTOBを実行

譲渡企業
株式会社ホウスイ(東京都江東区)※東証スタンダード1352
譲受企業
中央魚類株式会社(東京都江東区)※東証スタンダード3020

実行時期:2022年4月 スキーム:TOB/上場廃止/親子上場の解消

株式会社ホウスイは、冷蔵倉庫保管、水産物の買付販売、リテールサポート業務などを主に営んでいます。もとは日本水産株式会社(現:株式会社ニッスイ)の子会社でしたが、2008年に中央魚類の子会社である中央冷凍株式会社を吸収合併し、中央魚類の連結子会社となりました。
中央魚類株式会社は、東京都中央卸売市場に拠点を置く、国内水産系の大手水産物卸売です。水産物及びその加工製品の卸売事業、関連する冷蔵倉庫事業及び荷役事業等、グループが保有する不動産の一部を用いた賃貸事業を展開しています。

TOBの概要

2022年2月28日、東京都中央卸売市場である豊洲市場の卸、中央魚類は、子会社で冷蔵物流事業を手がけるホウスイに対して株式公開買い付け(TOB)を行い、完全子会社化することを発表しました。ホウスイ側もTOBに賛同の意を表明し、公開買い付けへの応募を推奨しました。
買い付け期間は2022年3月1日から4月12日。買付価格は、公表前営業日の終値841円に対して45.07%のプレミアムをつけた、1株当たり1220円が付きました。
TOBを発表した時点で、中央魚類は、ホウスイの第二位株主である日本水産との間で、日本水産が所有する全ての株式(所有割合:27.80%)を本公開買付けに応募する旨の契約を締結しており、契約に基づき日本水産が所有する全株式が応募されれば、応募株券等の総数が買付予定数の下限 964,400株(所有割合:11.52%)を上回るため、本公開買付けは成立する見込みである旨が告知されていました。
発表後の株価はTOB価格にサヤ寄せする動きが見られました。買い付け期間を経て、親会社の中央魚類によるTOBが成立し、2022年5月19日にホウスイは上場廃止となりました。

子会社の上場廃止と完全子会社化の目的

中央魚類グループでは、中央魚類が水産物及びその加工製品を仕入れ、ホウスイは冷凍・冷蔵庫での保管などを、流通面では中央フーズが量販店や外食産業向けに仕分けや加工を担い、マルナカロジスティクスが配送業務することで、総合的な物流システムを構築、こうしたグループ間の連携を強みとしています。
水産業界を取り巻く事業環境の変化に対応するには、グループ間のサプライチェーンを再構築することでグループ最適を実現し、グループとして共通利益・シナジーの創造を追求する必要があると判断し、今回の完全子会社化に至りました。

水産及び冷蔵倉庫業界を取り巻く事業環境

  1. ① 天然水産物の漁獲量の減少
  2. ② 国際的な水産物の需要の高まりによる買付競争の激化
  3. ③ 卸売市場外における水産物流通の多様化
  4. ④ ライフスタイルの変化
  5. ⑤ 環境規制の強化、老朽化等による倉庫の改廃など投資負担の増加

また、東京証券取引所の市場区分は、2022年4月4日から「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」という3つに再編されました。ホウスイは流通株式比率が低く、東証スタンダード市場の上場維持基準に抵触していたため、今後、上場維持が困難になるおそれがあったことが言及されています。
そのほか、経営資源・ノウハウの相互活用や人的交流を通じた協業体制の強化、両社の経営資源の最適化、意思決定の迅速化と上場維持コストの負担軽減などが本件の狙いとされています。

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TOB(株式公開買い付け)とは

業務用食品卸×業務用食品卸
トーホー、関東食品の出資比率を引き上げ子会社化

譲渡企業
関東食品株式会社(群馬県高崎市)
譲受企業
株式会社トーホー(兵庫県神戸市)※東証プライム8142

実行時期:2019年3月 スキーム:株式譲渡/子会社化

関東食品は、学校や病院などの給食事業者を中心に業務用食品卸売事業を営む会社で、群馬県・埼玉県で事業を展開しています。2016年からトーホーの持分法適用関連会社となりました。
トーホーは、外食産業向けのディストリビューター(業務用食品卸売)事業、業務用食品現金卸売事業、一般家庭向け食品スーパー事業を主要事業とする会社です。業務用食品卸専業としては国内最大手。業務用・家庭用の食品卸、中小外食事業者向け事業を展開するほか、食品スーパー「A-プライス」なども運営しています。

2019年3月、業務用食品卸の大手である株式会社トーホーは、持分法適用会社である関東食品の出資比率を引き上げ、子会社化しました。関東食品株式会社の株式を追加取得し、トーホーの持ち株比率は、議決権所有割合:42.1%から87.4%となりました。
トーホーは、今回の関東食品の子会社化により、業務用食品卸売事業の関東地区におけるシェア拡大を目指すとしています。
トーホーグループでは、成長戦略の一つとして2008年からM&Aを本格化。2023年時点で、36社がM&Aによりグループ入りしています。2019年にはシンガポールの業務用水産品卸Golden Ocean Seafoodを買収、2020年には香港のSuitfitがグループ入りするなど、国内外で積極的な事業拡大を図っています。

業務用食品・食材の卸売業の動向

業務用食品卸は、食品卸の中でも、レストランや居酒屋などの飲食店や、惣菜などの中食、ホテルや病院などの給食向けに業務用の食品・食材の卸売を手がける事業者の集まりです。ライフスタイルの変化や時短・簡便性のニーズから需要が伸び、堅調に市場を拡大しています。
惣菜白書によると惣菜市場は2017年に初めて10兆円を突破。新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けた2020年の落ち込みはありましたが、2022年には2019年以前の水準を上回っています。業務用食品卸業においても外食産業の落ち込みが影響した2020年度は前年度を下回った企業が多かったものの、近年は回復傾向で推移しています。2022年度の国内業務用食品市場は、前年比1.1%増の3兆8,342億円の規模でした。外食市場や中食・惣菜市場の需要の伸びに支えられ、前年を上回る結果となりました。
業務用食品メーカーは、調理現場での手軽さや時短効果を追求する製品を提供し、人手不足に対応する方向性が増えています。将来的にも、人手不足が業務用食品の需要を牽引し、その需要は拡大していくことが予想されます。

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持分法とは?持分法適用会社と連結子会社との違い、メリット・注意点

食品製造業×食品卸売業
水産専門商社ニチモウ、明太子・たらこ製造販売のマルキュー食品を子会社化

譲渡企業
マルキュー食品株式会社(福岡県大野城市)
譲受企業
ニチモウ株式会社(東京都品川区)※東証プライム8091

実行時期:2017年8月 スキーム:株式譲渡/子会社

2017年8月1日付でマルキュー食品の全株式をニチモウ株式会社が取得。マルキュー食品は、ニチモウの完全子会社となりました。
譲渡企業のマルキュー食品株式会社は、福岡で辛子明太子やたらこを製造販売する企業です。
買い手のニチモウ株式会社は、日本を代表する水産物の専門商社です。1910年に漁網・漁具メーカーとして創業し、現在では、食品事業・海洋事業・機械事業・資材事業・バイオティックス事業・物流事業の6つの事業を展開しています。
ニチモウグループは水産商社としての卸売機能のみならず、国内外の委託工場先で製品加工を行い、日本国内に広く展開しています。また、水産系の食品以外に海上機械資材の販売や漁網・漁具・各種ネットの販売・研究開発など、保有する機能は多岐にわたり、卸売業者としての介在価値が高い企業です。

1つの製品が消費者の手元に届くまでには、製品の開発・原料の調達・製造・卸売・小売などの複数の工程があり、この各工程を自社内にまとめることを、垂直統合・垂直型M&Aといいます。本件のように、食品卸業の企業が川上工程である製造業を買収・統合するケースも、垂直型のM&Aにあたります。垂直型M&Aのメリットとしては、サプライチェーンの流れをグループ内でまとめることによるコストの削減、ノウハウや技術の共有、製品の融通、交渉力の強化などが期待できます。
ニモウグループは、安定的な生産、販売体制を備えるマルキュー食品との連携を深めることで、辛子明太子やたらこの生産・販売体制の拡大に繋げるとしています。

食品卸業界の
M&A仲介実績

日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した食品卸業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2024年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2024年10月~12月分)は2025年1月30日以降の予定です。

譲渡・売却企業 譲受け・買収企業
2024年9月 食品小売(関東) 食品小売(関東)
2024年9月 食品小売(関西) 食品小売(関西)
2024年9月 包装資材卸売(東海・北陸) 食品小売(東海・北陸)
2024年8月 EC販売(関東) 食品卸売(関東)
2024年7月 食品卸売(関東) 食品製造(関西)
2024年7月 食品卸売(中国・四国) 農業関連品製造・販売(中国・四国)
2024年7月 食品卸売(関東) 食品製造・給食(関西)
2024年7月 食品卸売(東海・北陸) 食品卸売(東海・北陸)
2024年7月 食品卸売(東海・北陸) 食品小売(関西)
2024年7月 食品製造(関東) 食品卸売(関東)

食品卸業界・小売(スーパー)業界のM&A仲介実績一覧

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