EC・通販業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2024年最新版

EC・通販業界のM&A

EC・通販業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、EC・通販業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説します。 なお、商品の仕入れ・販売に関する事業全体のM&Aについては卸・小売業界のページをご覧ください。

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EC・通販業界の
M&A案件(売却・事業承継案件)

譲渡・売却を希望するEC・通販業界および隣接業界のM&A案件をご紹介します。非公開のM&A案件のご紹介や具体的な投資金額やエリアを絞って案件を探したい方は「M&A買収ニーズ」よりご登録をお願いします。

  • No.14973

    EC・通販
    地域
    東海地方
    売上高
    非公開

    独自の仕入ルート

  • No.14855

    EC・通販
    地域
    関東地方
    売上高
    2億円~5億円

    大手ECモールにて上位ランキングをキープしており安定した売り上げがある

  • No.14864

    EC・通販
    地域
    非公開
    売上高
    2億円未満

    ・収益の9割以上がバイク販売収益で、残りは手数料等である ・提携銀行と強固な関係性があるため、顧客へ特別な金利でサービス提供が可能

  • No.14654

    EC・通販
    地域
    非公開
    売上高
    非公開

    ・幅広い種類のデジタルギフト券を提供 ・SEO対策やSNSマーケティングを駆使し、オンラインでの集客を強化

  • No.14054

    EC・通販
    地域
    関東地方
    売上高
    2億円未満

    ・顧客のレビューから改良を重ね、非常に高いサイト内評価を獲得 ・ヨーロッパの某ブランドの総代理店としてアウトドア製品を販売

希望に沿う案件をご紹介

EC・通販業界の
M&A買収ニーズ

買収・譲受け企業からの要望の一部をご紹介します。具体的な買い手候補企業のご提案は、会社売却先シミュレーションから、無料でお試しいただけます。

  • 2041 無店舗販売(通販・訪販・自販機等) 全国 規模は問わない

    健康食品事業の販路拡大のため、食品通販会社の譲受けを希望。

  • 2042 無店舗販売(通販・訪販・自販機等) 全国 5億円未満

    関東首都圏であれば尚良い。販路の拡大を目的として、TV通販、海外向け通販事業を手掛ける企業を希望。

  • 2043 無店舗販売(通販・訪販・自販機等) 全国 規模は問わない

    スポーツ用品の販売を手掛けており、ネット販売の強化が目的。

  • 2044 通販サイト運営 全国 規模は問わない

    グルメ通販や食品通販を運営する企業を希望。

EC・通販業界を含むその他卸・小売業のM&A案件(譲受け・買い案件)一覧

EC業界の概要

国内EC市場の概況

経済産業省「電子商取引に関する市場調査(2022年度)」によると、2022年の国内のBtoC向けEC(消費者向け電子商取引)の市場規模は22.7兆円、前年比9.91%増となり、右肩上がりの成長を続けています。(本調査においては、ECの定義は「インターネットを利用して、受発注がコンピュータネットワークシステム上で行われること」としています。)

図:BtoC(消費者向け)EC市場規模とEC化率
BtoC(消費者向け)EC市場規模とEC化率

データ出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」

分野別では、物販系ECが13.9兆円(前年比5%増)、サービス系ECが6.1兆円(前年比32%増)となりました。
物販系ECのカテゴリー別内訳は、食品・飲料品・酒類、生活家電・AV機器・PC・周辺機器等、衣類・服飾雑貨等、生活雑貨・家具・インテリアの割合が7割以上と大半を占め、いずれのカテゴリーも2兆円を超える規模に成長しています。
サービス系ECでは、旅行・飲食・チケット販売等のカテゴリーが、コロナ禍からの回復・外出需要の増加とともに大きく伸び、国内EC市場の成長に大きく寄与しています。

カテゴリー別で異なるEC化率

全ての商取引金額(商取引市場規模)に対するEC市場規模の割合を「EC化率」と言います。
物販系分野におけるEC化率は年々ゆるやかに増加しており、前述の経産省調査では、2022年には全体で9.13%となりました。
EC化率はカテゴリー別で大きくばらつきがあるのが特徴です。たとえば、食品・飲料・酒類は市場規模が最も大きいカテゴリーですが、EC化率は4.16%と低く、まだまだ成長余地が見込まれます。

分類 市場規模 構成比率 EC化率
金額(億円) 前年比
食品、飲料、酒類 27,505 9.15% 19.6% 4.2%
生活家電、AV機器、PC・周辺機器等 25,528 3.84% 18.2% 42.0%
衣類・服装雑貨等 25,499 5.02% 18.2% 21.6%
生活雑貨、家具、インテリア 23,541 3.47% 16.8% 29.6%
書籍、映像・音楽ソフト 18,222 4.02% 13.0% 52.2%
化粧品、医薬品 9,191 7.48% 6.6% 8.2%
その他 7,327 5.22% 5.2% 1.9%
自動車、自動二輪車、パーツ等 3,183 5.55% 2.3% 4.0%
物販系分野 合計 139,997 5.37% 100.0% 9.1%

大手総合ECとメーカー、多様な専門EC事業者による国内勢力図

総合EC大手である楽天グループ、Amazon、LINEヤフーの3社が、流通総額で国内のBtoC(消費者向け)EC市場の約半数近くを占めると言われています。
EC市場自体は拡大基調ではあるものの、こうした総合EC企業による寡占傾向に加え、既存の大手メーカーやブランドによる直販型EC参入も次々と見られ、競争環境はより激しいものとなりつつあります。
特定のカテゴリーに特化した専門EC事業者においては、商品力や独自の品揃え、専門事業者ならではのECサイトのUI(ユーザーインターフェース)や顧客体験を磨き、コアなユーザーやファンを獲得する戦略がますます重要になっていると言えるでしょう。日用品・消耗品分野では総合ECの利便性の面で優位性が高いため、専門ECにおいては衣類や趣味雑貨、食品等のカテゴリーに強みを発揮しやすいのが特徴です。

EC業界の現在の市場環境

以下では、BtoC(消費者向け)EC市場をめぐる直近の動向・トピックスをいくつかご紹介します。

物流効率化の課題

物販分野のBtoC-EC市場の拡大に伴い、宅配便の取扱個数は増加を続けています。他方、物流業界においては「2024年問題」と呼ばれる、全国的かつ構造的に人手不足の問題が待ち構えている中、生産性アップが急務となっています。さらに全世界的な資源高も加わり、物流関連のコストは膨らむばかり。EC事業者にとっても頭の痛い課題です。
大手ECプラットフォーム事業者においては、物流システムへのIT投資や人員確保を強化し、特定の運送会社との契約でラストワンマイル(最終拠点からエンドユーザーへの物流サービス)を委託するなどの個別対策が進んでいます。

スマートフォンとSNS経由の消費の拡大

スマートフォンを介した取引額はあらゆる分野で増加しており、特に物販系のBtoC-EC市場ではスマートフォン経由の取引が急速に拡大しています。なかでもスマートフォンアプリを通じたサービスは利便性が高く、消費者と事業者の関係を強化するチャネルとしても注目されています。
また、SNSとECの連携はますます加速。年代やターゲット別に効果的なSNS媒体が異なるために、複数のSNSサービスを使い分けてマーケティングを行うEC事業者が増えています。

実店舗とECの新たな連携の形が出現

コロナ禍を経て消費者行動が変化する中、実店舗の存在意義やECとの連携が見直されています。具体的には、商品の専門的な情報提供ができるオンライン接客、実店舗で商品を確認するためのショールーミング化店舗、EC購入商品の店頭受け取りなどです。EC購入商品の店舗受け取り(Buy Online Pick-up In Store: BOPIS)は、消費者には便利さや返品の容易さ、企業には物流コストの低減や顧客との接客機会の創出などのメリットがあり、活用が急速に広がっています。実店舗を生かしたECの連携や、顧客体験の改善の試みが今後ますます活発に行われていくでしょう。

CtoC-EC市場の拡大

フリマアプリやネットオークションに代表される、Consumer to Consumer:個人間取引の市場が拡大しています。経産省調査によれば、2022年には2兆3600億円規模となり、主にフリマアプリ市場の成長が貢献していると見られます。

EC業界におけるM&Aの動向

EC業界は変化に富んだ成長機会にあふれた業界であると同時に、経営を取り巻く課題も多いことをお分かりいただけたでしょうか。さて、そうした経営の課題を乗り越え、より高い成長やスケールアップ・効率化などを求めて、M&Aの活用が活発化しています。
以下では、近年特に顕著なEC業界におけるM&Aのトレンドを挙げていきます。

大手を中心に進む業界再編の動き

大手EC事業者の間では、子会社化や資本業務提携によって、物流システムやITなどのテクノロジー活用、グループ力やプラットフォームの顧客基盤を生かした送客強化などを図る取り組みが目立ちます。アパレルEC「ZOZO TOWN」を運営するZOZOのヤフー(現・LINEヤフー)傘下入り(2019年)や、無添加食品などの宅配大手オイシックス(現・オイシックス・ラ・大地)による有機野菜等を扱う「大地を守る会」と「らでぃっしゅぼーや」の経営統合(2017・2019年)、コスメ・美容の総合サイト「@cosme」を運営するアイスタイルが米Amazonと資本業務提携(2022年)など、記憶に新しいのではないでしょうか。

中小ECのM&Aにおいては9割が「異業種間」(日本M&Aセンター実績より)

日本M&Aセンターがご支援したEC業界におけるM&Aのご成約実績のうち、譲渡企業(売り手)と譲受企業(買い手)が異なる業種であるケースは全体の9割に上ります。
同業や同地域の企業とのM&Aが盛んな業種もあるなか、EC業界は異業種間のM&Aによる多様なシナジーが検討されるのが特徴的です。仕入れ等でのコストの削減やノウハウ取得、顧客への複数商品のクロスセルの可能性、あるいはオフライン販路向けの商品確保を図るなど、M&Aの狙いはさまざまです。

図:日本M&AセンターのEC関連企業のM&A成約実績
日本M&AセンターのEC関連企業のM&A成約実績

※2023年時点

若手経営者を中心としたイグジット(Exit)ニーズ

EC業界においては、若くして起業し成長させてきた若手経営者によるイグジット(Exit)のニーズが高いことが特徴的です。「イグジット」は、企業の創業者やファンドなど投資家が投資した事業から離脱し、これまで投下した資本を回収する行為を指します。具体的には、M&Aで事業を売却する、株式を公開する(IPO)するなどの方法があります。
現在経営している会社を譲渡して得た自己資本を投じて新たなビジネスへの挑戦を考えている経営者も多く、後述するようにM&Aの引継ぎ期間(ロックアップ期間)を短くしたいと希望するケースも少なくありません。

EC業界でM&Aをするメリットとデメリット

次に、EC事業者がM&Aに取り組むメリットやデメリットについて見ていきます。

譲渡側(売り手)のメリット

M&Aによって以下のようなメリットが得られる場合が多くあります。 財務面や組織面の安定・・・資本提携することで、資金面やリソース面が充実
採用活動が行いやすく・・・大手傘下になることで、採用がしやすくなる(条件面が改善)
ITやインフラ面の改善・・・グループとしての投資や調達などが可能になる
マーケティング・販路の強化・・・グループのリソースが活用できる
会社の継続・・・社名・ブランド、従業員の雇用、取引先は継続したまま上記のメリットを得られる
創業者利益の獲得・販路の強化・・・非公開株式を現金化できる
連帯保証の解除・・・銀行借入金の保証から外れることができるといったものがあげられます

デメリット・留意点としては、 必ずしも最適な相手がすぐに見つかるわけではない
自社の商品やサービスの魅力や顧客基盤、成長性を示さなければならない
といった点がいえるでしょう

譲受け側(買い手)のメリット

一方の譲受け側(買い手)においては、以下のような点をメリットにM&Aを実行する場合が多くあります。 ・EC事業のノウハウ獲得
・既存の商材とのクロスセルによる売上アップ
・新たな商材やブランドの獲得

EC業界でM&Aをする際の注意点

M&Aを行う上での注意点は実に多岐にわたりますが、ここではEC業界において特徴的なポイントを一部紹介させていただきます。

売り手(譲渡企業)側で注意する点

在庫

既に陳腐化している在庫がないかどうか、適切に評価できているかどうかを確認します。

商標権

独自ブランドを展開している場合、商標等を適切に申請・取得しているかなどを確認します。

取引基本契約書の確認(特にCOC条項)

COC(Change of Control)条項とは、M&Aなどを理由に契約の一方の当事者に経営権・支配権の変更・異動が生じた際に、契約内容に制限を設ける、あるいはもう一方の当事者による契約解除を可能にする条項です。仕入先や販売先との基本契約書などに一般的に盛り込まれている内容で、既存の取引先への通知義務が契約書に記載されていることもあるので確認が必要です。

買い手(譲受け企業)側で注意する点

PMI(買収後の統合プロセス)

前述のとおり、EC業界のM&Aでは、異業種の企業間のM&Aが多いことが特徴の一つです。特に隣接業種や異業種の買い手(譲受け企業)がM&AによってEC参入を図るといった場合には、PMI(買収後の統合プロセス)がきわめて重要です。計画的かつ段階的なPMIを進めることが、M&A後のEC事業の成長のためには不可欠です。
M&Aの実行フェーズと同様に、PMIでも外部の専門家の活用が可能です。内容やM&Aの規模感などに応じて専門性も分かれるため、M&A時の担当コンサルタントなどにご相談いただくのがおすすめです。 日本M&Aセンターでも、PMI専門の子会社である株式会社日本PMIコンサルティングを設立し幅広く支援しています。

社長の引継ぎ期間(ロックアップ期間)

M&Aで経営権は譲受け企業に代わったあとも、譲渡企業の社長が「子会社の社長」として続投されることが多くあります。
EC業界では社長もまだ若いことが多いため、譲受け企業側は「5年、10年お願いしたい」と希望するケースがあります。
一方で、若い譲渡オーナーの場合はM&A後に「次のビジネスを始めたい」と考えていて、短い引継ぎ期間を希望することもあり、条件面でギャップが生まれます。
M&Aの交渉中に直接話しづらいこうした条件部分について、当社のようなM&Aアドバイザーが両社の間に入って調整・交渉を行います。

EC業界のM&A事例

ZホールディングスとZOZOのM&A

2019年9月、ヤフー株式会社(4689)が株式会社ZOZO(3092) の普通株式を公開買付け(TOB)により取得することを発表し、ZOZOとの間で資本業務提携契約を締結しました。同年11月までに公開買い付けを終了し、ZOZOを子会社化しました。
本件は、日本を代表するIT企業とアパレルを中心としたECプラットフォーム会社のM&Aとして大きな話題を呼びました。
Zホールディングスのヤフーは、2013年よりEC事業の新戦略を「eコマース革命」と銘打ち、出店コストの無料施策やソフトバンクユーザー向けのキャンペーンなど、数々の施策を打ち出し、取扱高を伸ばしました。
ZOZOの買収・子会社化には、ヤフーがeコマース事業のさらなる成長のため、ファッションカテゴリーを強化する狙いがあります。

※2019年10月にヤフー株式会社は会社分割により持ち株体制に移行。Zホールディングス株式会社に商号を変更しました。
また、2023年10月1日付にLINEヤフー株式会社に社名変更を行っています。

ベルーナとセレクトのM&A

2021年8月、総合通販の株式会社ベルーナ(9997)はレディースアパレルECサイト「Pierrot(ピエロ)」を運営する株式会社セレクトの全株式を取得し、子会社化しました。
ベルーナは、総合・専門通販、店舗販売、ソリューション、ファイナンス、プロパティ、その他事業を展開する「総合通販の雄」ともいえる企業です。グループ内への商品供給、ノウハウ共有、顧客基盤の共有等を通じた集客連携などを通じた企業価値の向上を狙った、EC事業者同士のM&Aの好事例です。

ヨドバシホールディングスとICI石井スポーツのM&A

2019年4月、株式会社ヨドバシホールディングス(以下、ヨドバシHD)は、株式会社ICI石井スポーツ(以下、「石井スポーツ」)の全株式を、株式会社アドバンテッジパートナーズから譲受けました。これにより、石井スポーツおよび子会社のアート・スポーツがヨドバシHDの完全子会社となります。

ヨドバシHDは家電量販店大手のヨドバシカメラの持ち株会社。ECサイトの運営にも力を入れています。本買収により、グループが運営する不動産への出店や、eコマース、経営・物流システムの利用を通じて、さらなる専門性の追求、お客様へのサービス向上、収益の拡大を図るとしています。端的には、アウトドア用品部門の商品ラインアップ拡大を意図したものと見られています。

アドバンテッジパートナーズは、日本のPEファンドの草分け的存在。本件は、ファンドの投資先のエグジット案件としても良い事例と言えます。

京王百貨店とセレクチュアーのM&A

2016年9月、株式会社京王百貨店は、衣料・キッチン用品や雑貨のEC事業を手掛けるセレクチュアー株式会社を、クックパッド株式会社より譲受け、子会社化しました。

京王百貨店は京王電鉄株式会社の100%子会社で、東京西部エリアを中心に百貨店を展開しています。2015年から17年の経営計画においては、客層と販路の拡大を掲げ、新規事業の開発・育成に取り組んでいました。
セレクチュアーを子会社化することにより、EC事業領域への進出と、EC事業運営ノウハウやマーケティング力の確保、顧客基盤拡大を図りました。

近年、このような伝統的な産業(オールドエコノミー)を軸とする大企業と若いEC企業のM&Aが盛んです。M&Aによってデジタル領域のノウハウ確保、EC事業進出を図るケースが増えています。

エディオンとフォーレストのM&A

2017年7月、家電量販店のエディオン(2730)は、J.フロントリテイリング(3086)よりフォーレスト株式会社(埼玉県さいたま市)の自己株式を除く全株式を取得し子会社化することを発表しました。
フォーレスト20年以上にわたり文具やオフィス用品などを販売する自社サイトを展開するEC企業で、2013年よりJ.フロントリテイリングの子会社でした。

エディオンは本買収に先駆け、2015年の中期経営計画でEC事業の強化を掲げ、自社ECサイトのリニューアルや、リアル店舗・EC間の会員情報や価格などの一元化に取り組んでいました。本子会社化によりエディオンは、フォーレストの幅広い商品ラインナップや、倉庫運営のノウハウなどを取り入れ、EC事業の拡大を目指すとしています。

EC業界におけるM&Aの価格相場

EC事業のM&Aの価格・相場感の考え方についてお話します。M&Aには様々な評価方法がありますが、一例として取引事例法をご紹介します。
取引事例法は、過去のM&A 事例から、事業内容・地域・財務指標などが似ている企業の売買事例を選定し、その売買実績に基づいて価値算定を行う方法です。しかし、「他社のM&A実績から価格を参考に知りたい」と思っても、非上場企業のM&Aでは、情報が非公開のため、ほとんど参照することはできません。

日本M&Aセンターの「株価算定」

中小企業のM&A成約数No.1の日本M&Aセンターなら、事業内容・地域・財務指標などの情報から類似した会社の売買事例を見つけ、一定のルールで合理的な価値評価を算出することができます。こちらの「株価算定シミュレーション」から、無料で体験していただけます。

[株価算定シミュレーション 無料簡易版]

実際には業態によって価格相場は変動しますし、経営状態などによっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料で差し上げていますので、お気軽にお問い合わせください。

EC業界M&Aで企業価値を高めるポイント

では、EC業界のM&Aにおいて、より高い評価を得るには、買い手を見つけるにはどうしたらよいでしょうか。買い手にとって「この会社が欲しい」と思われるための要素を強化し、会社の魅力を高めることが重要です。以下にEC業界ならではの、企業評価を高めるためのポイントを少しだけご紹介します。

プロダクト

商品・サービスの特異性、優位性が高いほど、譲受け候補企業からの評価、株価も相応に高まります。
ECのM&Aにおいて、譲渡企業(売り手)と譲受け企業(買い手)は業種や商材が異なるケースが多い傾向があります。そのため、M&Aによる既存顧客へのクロスセルの可能性や、商品ライン拡充を図る企業は多く、取り扱う商品の魅力は大切なポイントになります。

商品企画力

譲受け企業側は、譲渡企業のプロダクトに対し「この商品・ブランドは今後も売れ続けるか、生き残れるか」を見ています。今ある商品が良いことに加え、「市場や消費者の変化に対応して新たな商品・サービスを生み出す力」が求められているのです。
また、EC事業の譲渡オーナーの場合、M&A後に新事業立ち上げなどを新たな目標に取り組むため、1年や2年の引継ぎ期間を経て退任されるケースも少なくありません。
社長個人の能力ではなく、会社組織自体にプロダクトの企画力や推進力があるのかどうか、という点は評価のポイントになります。

EC業界のM&Aまとめ

ここまでの内容を簡単におさらいします。

EC業界の概要

  • ・市場規模22億円を超える成長市場
  • ・食品、アパレル、家電、インテリアから旅行・サービス領域まで幅広い
  • ・総合および専業のEC事業者に加え、メーカーの参入も進む

EC経営の主な課題

  • ・物流やシステムへの投資が追い付かない
  • ・マーケティングや採用への投資が膨らみ続ける
  • ・仕入れ・製造など先行コストが大きい

EC業界におけるM&Aの動向

  • ・大手を中心に再編が進んでいる
  • ・中小ECでは9割が異業種間のM&A
  • ・若手経営者を中心にしたExitニーズが高い

EC業界におけるM&Aのメリット

  • ・売り手においては、グループ化による財務、組織、採用、マーケティング、IT・インフラ面の改善、社名やブランドの継続、創業者利益の確保と連帯保証の解除など
  • ・買い手においては、ECノウハウ獲得、商材ブランドの獲得、クロスセルのシナジーなど

EC業界でM&Aをする際の注意点

  • ・売り手においては、在庫、商標権、既存の契約におけるCOC条項の確認
  • ・買い手においては、PMI、社長の引継ぎ期間など

EC業界におけるM&Aの価格相場

  • ・他社のM&A実績から価格を参考に知るのは難しい
  • ・日本M&Aセンターは、豊富な自社の実績から株価算定シミュレーションを提供
  • ・高い企業評価を得るには、プロダクト・商品企画力を磨くのがポイント

この記事の内容はあくまでEC業界全般およびEC業界のM&Aに関する一般的な特徴や傾向をまとめたものです。実際のM&Aにおいては個別事情を踏まえてさまざまな可能性や論点がありえます。自分の会社を譲り受ける企業はあるのか、いくらで譲渡可能なのか。あるいはこういった会社を譲受けできないか、経営の課題を解決できるような提携先はないか、ぜひ一度検討してみましょう。
日本M&Aセンターでは、秘密保持を厳守のうえ、無料でご相談を承っています。お気軽にお申しつけください。

EC業界支援の専門チームがM&Aをサポート

日本M&Aセンターは、M&AによるEC業界の成長戦略を支援するため、EC業界に特化した専門グループを発足いたしました。 EC業界専門グループは、EC事業を営む企業のM&A実務経験を豊富に持ち、EC事業およびM&Aの両面に知見がある5名の組織体制となっております。EC事業者のM&Aにおいて、特有の論点に対応できるメンバーが全力で支援してまいります。

龍石 泰樹

龍石たついし泰樹たいき (監修)

株式会社日本M&Aセンター
営業本部 業種特化事業部

新卒で衣類メーカーにて小売業に従事、その後株式会社リクルート(旧株式会社リクルートライフスタイル)にて広告営業を経て、2020年に日本M&Aセンターへ入社。
入社後は、主に20代後半~40代後半の若手経営者に対し、成長戦略型のM&A支援を行っている。

株式会社日本M&Aセンター

業界別M&Aレポート編集部

株式会社日本M&Aセンター

業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。

EC・通販業界の
M&A仲介実績

日本M&Aセンターが仲介・支援して成約したEC・通販業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2024年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2024年10月~12月分)は2025年1月30日以降の予定です。

譲渡・売却企業 譲受け・買収企業
2024年9月 建築材料卸売(東海・北陸) 建築材料卸売(関東)
2024年9月 日用雑貨卸売(九州・沖縄) 管工事(九州・沖縄)
2024年9月 建築材料卸売(関東) 建築材料卸売(関東)
2024年9月 自動車小売(東海・北陸) エネルギー(東海・北陸)
2024年9月 エネルギー(中国・四国) エネルギー(九州・沖縄)
2024年9月 建築材料卸売(北海道・東北) 建築材料卸売(北海道・東北)
2024年9月 日用雑貨卸売(東海・北陸) アパレル(関東)
2024年9月 日用雑貨卸売(東海・北陸) 家具・什器インテリア卸(関東)
2024年9月 建築材料卸売(中国・四国) トラック運送(中国・四国)
2024年9月 エネルギー(北海道・東北) トラック運送(北海道・東北)

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